6月1日からマカフィー 代表取締役社長に就任する大須賀雅憲氏

マカフィーは5月19日、元ジュニパーネットワークス 代表取締役の大須賀雅憲氏が6月1日付けで同社の代表取締役社長に就任する人事を発表した。現・代表取締役社長の加藤孝博氏は代表取締役会長に就任する。10年に渡りマカフィーを牽引してきた加藤氏は「新社長の下、私の在任期間中には成し得なかった、セキュリティベンダ国内シェアNo.1という目標を達成してほしい」と語り、今後は会長として同社にとどまり、新社長をサポートしていくことを表明している。

新社長に就任する大須賀氏は1961年生まれの47歳。1985年に法政大学法学部を卒業後、日本電気システム建設に入社、その後は法人営業のスペシャリストとしてAT&T(販売シニアマネージャ)、Unisphere Networks日本法人(支社長)などを経て、2002年、Juniper NetworksによるUnisphere Networksの買収に伴い、日本法人であるジュニーパーネットワークスの代表取締役に就任する。在任中は多くの買収案にかかわり、エンタープライズネットワークに注力した製品を市場に数多く投下し、事業を拡大してきた。そして2009年5月、加藤氏の後継として、マカフィーに入社する。

大須賀氏は「ジュニパーに在籍中、ネットワークが大きく進化していくさまをこの目で見てきた。ブロードバンドがDSLから光回線へと変わっていき、高速化が進んだが、一方でそれは、より"危険なネットワーク"となったことをも示している。ネットワークのインフラ部分に関してはほぼひととおり総括できたが、これからはコンプライアンスなど、テクノロジだけでは解決できないセキュリティが重要になってくるだろう。そういった面から見れば、セキュリティベンダの中で、マカフィーが最も人間工学に則したソリューションを提供できていると思う」としている。

大須賀氏が直属することになる米McAfee 販売事業担当部門エグゼクティブバイスプレジデント マイケル・デシーザ氏

米McAfeeの日本法人であるマカフィーは、米McAfee 販売事業部門担当バイスプレジデント マイケル・デシーザ氏にリポートする。きびしい経済状況の中にありながら、ワールドワイド、アジアパシフィック、日本の各市場で2ケタ成長を続けているMcAfeeだが、デシーザ氏は「1年前、加藤氏から社長を降りたいと打診されてから、慎重に新社長選びを行ってきた。私が大須賀氏に会ったのは数カ月前だが、ネットワークに関する深い経験と知識をもっていることがわかり、彼を選んだ。米国本社にとっても日本にとっても非常に自然な流れ」と大須賀氏就任の経緯を説明、「日本市場におけるさまざまな目標値を達成し、また、No.1セキュリティベンダへと確実に成長できるよう、米国本社としてもサポートを惜しまないつもりだ」としている。

加藤氏は自ら退任を願い出た理由として、「10年の在任期間中、社員も売上も大幅に増加し、また、単なるウィルス対策ベンダから、総合セキュリティベンダへと大きく飛躍することができた。だが、ワールドワイドにおける日本の売上比率を10%までに高めるといった目標を掲げてきたが、達成することがかなわなかった。また、セキュリティベンダとして国内シェアNo.1も目指していたが、これも未達成に終わっている。私のときにはできなかったことが、新社長の体制下では必ず実現できると期待している」とし、会長として大須賀氏を全面的にサポートしていくという。

大須賀氏は最後に「マカフィーが国内No.1になる下地は十分にある」とし、「個人法人を問わず、マカフィーのソリューションを必要とする層すべてに訴求できるような営業体制を敷いていく。また法人に関しては、業界の構造変化にすばやく対応できるよう、研鑽を積んでいきたい」と抱負を語る。加藤氏がついに得ることができなかった国内No.1の称号を手にできるのはいつなのか - 大きな課題を背負って大須賀新体制がスタートする。

会長となる加藤孝博氏(左)に対し、「この10年間、マカフィーのビジネスを成長させてくれたことに心から御礼を言いたい」とデシーザ氏。大須賀氏は「米国本社と密な連携をとりながら、マカフィーが抱えている経営課題を社員一丸となって解決していきたい」と意欲を見せる