パフォーマンス - 「性能」より「サイジング」が重要!
「ブレードサーバをこれから導入しよう」という現場では、ブレードサーバに対して性能面で不安を感じているユーザーも少なくないと思われるが、同社によると、重要なのは「既存の環境がどのようになっており、ブレードサーバに置き換えた場合にどのようになるのか」といったサイジングの問題だという。逆に言えば、事前に要件さえきちんと定義しておけば、後で「性能」が問題になることはないというわけだ。
すでに多くの商談の現場においても、「性能の話が出てくるのは、仮想化技術の導入を前提とした場合だけです」という。
なお、この「仮想化」に関しては、「フラッシュメモリに軽量のVMware ESXiを格納済みでいち早く出荷したのは当社」とのことで、敷居の高い仮想化技術の実装を、比較的安価に実現できる手段として「Express 5800/120Bb-d6」という製品で提供している。
サポート - 将来の互換性にも配慮
ブレードサーバはシャーシが各社独自設計である以上、ベンダーロックインという懸念事項は解消されない。さらに、同じベンダーの製品であっても、新たな製品が登場した時にシャーシの仕様が変更され、既存のモジュールが使えない……といった状況も生まれる。この点に関して同社は、「新たなアーキテクチャを採用したシャーシが登場しても、既存のモジュールを使えるようになるコンバージョンキットを提供しています」という通り、同社製品に関しては互換性を確保する仕組みを用意している。
また、「ユーザーからの長期保証に対する声が大きくなってきている」という背景を踏まえて、「要望があれば、別途長期保証契約を締結することも可能」としているそうだ。
「サポート」という概念からは外れるかもしれないが、同社は「SANブート専用」のブレードを提供している。「"SANブート専用"と定義されているものをブレードという形で用意しているのは当社だけ」とのことだが、これも同社製品の特徴の1つと言えるだろう。ただし、同社によると「ブレードサーバの案件に限れば、SANブートが求められるのはまだ全体の数パーセント程度」とのことで、既存環境のリプレースというよりは、システムの刷新といった案件で求められるケースが多いそうだ。
NECの"売り"は何か? - "わかりやすさ"が最大の武器
同社はもともと、他社に先駆けて中堅・中小企業向け市場に向けたブレードサーバの導入を推進していた経緯がある。そのため100V電源対応製品の市場投入も早かった。そしてこの領域では、「やさしい」「わかりやすい」が非常に重要なファクターになってくるという。
「外資系ベンダーの製品ですと、『技術資料が英語』とういうケースもありますが、当社は(オプションも含めて)すべてのドキュメントやツールが日本語対応です」
一見すると小さなことかもしれないが、実際の運用フェーズに入ると、このようなことが「ユーザーにとって大きな負担となり、結果として運用コストを押し上げてしまう原因にもなりかねません」とのことだ。 「運用コストの削減には"サーバ統合"ではなく"システム統合"が必要です。ブレードサーバや仮想化も、あくまでその目的を達成するための手段であるということを忘れてはなりません」
現在は、ほとんどのベンダーが中堅・中小企業をターゲットとした製品に力を入れている状況だ。ただ同社は先述のように「先駆けて」いる点に加え、「できるブレードサーバ」(非売品)といった専用の冊子を制作するなど、この市場における取り組みは一歩抜きん出ている印象を受ける。
「仮想化」について
-複数の仮想環境を一元管理「SigmaSystemCenter」
-回答者-
日本電気(NEC) クライアント・サーバ販売推進本部 主任 谷長薫氏(左)
同本部 マネージャー 藤浪秀樹氏(右)
同社は仮想化技術に関して「戦国時代化しており、まだ先が読めない」という考えを示してくれた。Hyper-VはすでにWindows Server 2008に組み込まれた状態で出荷されており、選択肢が増えたことで、異なる仮想環境が混在した状態での運用環境が増えることも考えられる。同社の「SigmaSystemCenter」は、複数の仮想環境を一元管理できるのがポイントだそうだが、運用コストの削減には、管理ツールの存在も重要な要素であることを頭に入れておきたい。『出典:システム開発ジャーナル Vol.9(2009年3月発刊)』
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