パフォーマンス - ラックと"イコール or ベター"

同社が「いま最もお勧めしたい」と強調していたのが印象的だった「HS12」

「ブレードサーバは性能面で不安がある」というユーザーの声もあるが、この問いに対して同社は、一般論として(ラックマウントサーバと比べて)性能が劣るとは言えないという。

「例えば『2.5インチのHDDだからパフォーマンスが3.5インチのHDDより落ちる』というのであれば、当然ながらこれはHDDの性能差であり、"ブレードサーバの性能"ではありません」

実際にパーツを個別に見ていくと、現在はむしろブレードサーバの方が性能が上、というケースもあり、「お客様に、より多くの選択肢を提供する」というスタンスだ。価格面でも、従来はラックマウントサーバよりも高めだったが、今は「構成によってはブレードサーバの方が若干安くなる」とのことだ。

サポート - オプションの品揃えが最も多い

シャーシやCPUを含めた各種オプションの選択肢については、「ラインナップが最も多いのはIBM」と胸を張る。特にCPUはインテル製やAMD製のものだけではなく、同社独自開発のPower6やCellベースのPowerXCell、ディープパケットインスペクション(DPI)機能を実装可能な専用モデルも用意されているなど、種類の多さは際立っている。また、ストレージの選択肢の多さも強みであり、「世界で初めてブレードサーバにSSDを搭載したのはIBMです」とのことだ。加えて「FC(ファイバチャネル)スイッチの種類もIBMが最も多い」という。

ベンダーロックインへの不安に対しては、「当初から"IAサーバはオープンであるべき"という発想で製品を開発しており、シャーシについてはもともとインテルと共同開発を行っていた経緯があります。実際に米国では、当社のブレードシャーシに搭載できるサン・マイクロシステムズのSPARCを搭載したブレードサーバを販売している会社もあります」という。「ブレードサーバとシャーシの接続性についても(コネクタを上下に用意するなど)冗長性を持たせています」とのことで、これは"隠れた"大きな特徴の1つとなっている。

同社はこのようなコンセプトを100V対応の低価格製品にまで一貫して適用しており、「大企業の高集積向け用途だけではなく、中小企業でも十分に対応できる」という点を強調する。

IBMの"売り"は何か? - 低価格製品でも高機能を提供

ブレードサーバを導入するとなると、障害対応策として「SANブートは外せない」というユーザーも少なくないと思われるが、一般的には高価なオプションだ。しかし同社は、オフィス向けの低価格製品「BladeCenter S」でもSANブートを実現できる。このような"一体型"の製品でSANブートに対応し、かつHAクラスタ構成とVMotionによる仮想化構成の2種類を提供しているのは同社だけだという。

また、運用管理が「どのようにラクになるのか」は大いに気になるところだが、これは管理モジュールに搭載された機能「BladeCenter Open Fabric Manager」がカギを握る。具体的には、管理モジュール上にMACアドレスやWWPNの情報(テーブル)を持たせることで、スイッチの機能に依存しない、運用管理の自動化を実現できる(モジュール故障や入れ替え時の設定の煩雑さから解放される)とのことだ。さらに、メインフレームと共通の管理ツールである「Active Energy Manager」では、各サーバにおける個別の消費電力管理が可能で「最大で1年分のデータを取得でき、レポート出力にも対応しています」という。このツールを使うと、「最大消費電力を230Wに抑えたい」といった時に、そのような運用管理を自動化することができるそうだ。

「仮想化」について - 中小企業こそ、そのメリットが大きいはずです

-回答者-
日本アイ・ビー・エム株式会社(IBM) システム製品事業 システムx事業部 システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 佐々木言氏(左)
同事業部 システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト 早川哲郎氏(右)
同社は「仮想化 太鼓判」という低価格製品を拡販するほど仮想化技術の普及に注力している印象を受けるが、基本的には「ブレードサーバのみと仮想化を紐づけて考えているわけではない」とのこと。ただし日本ではユーザー自身が「ブレードで」と希望するケースが多いという。その背景にはリスク回避(1台が故障した時の影響度)の考え方があると同社は分析しているが、結果的に「高集積の相乗効果という点で、むしろ中小企業にとって仮想化のメリットは大きい」という見解を示してくれた。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.9(2009年3月発刊)
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