パフォーマンス - HDD前面配置で障害リスク低減

100V電源対応の「PRIMERGY BX600 S3」(7Uサイズのシャーシに10枚のサーバブレード搭載した状態)

製品が十分なパフォーマンスを発揮するには性能だけでなく安定稼働も重要なファクターだ。高度に集積されるブレードサーバの安定稼働には熱処理が一番の問題。その点同社は「熱に弱いHDDを、最も熱を発するCPUより前に配置する設計を採用した」という。「サーバトラブルの約7割はHDDが原因」とのことだが、前面吸気→後方排気を行うシャーシ上で、これが理想的なパーツ配置となるそうだ。

設計に強みを持つ同社のブレードサーバだが、仮想化との関連性については、「仮想化商談の多くはブレードサーバが導入されています。特に、多数のサーバを統合・集約する場合、ブレードと仮想化を組み合わせることで、導入効果が非常に大きくなるためでしょう。ただ、メインフレームとの連携など、仮想化に向かないシステムがあるので注意が必要です」。やはり事前に要件や目的を明確にしておくことが重要で、「全体システムの最適化の観点から最適な組み合わせを選んでほしい」との考え方を示してくれた。

100V電源に関しては、同社には「かんたんブレードセット コンパクトモデル」という対応製品が用意されている。それまで大企業での商談が中心だったが、中堅企業や部門導入を検討されているお客様にも使っていただきたい」という主旨だ。なお、本商品には騒音対策済みのラックも用意されているので、サーバルーム以外にも設置できる。

なお、ほぼ各社から出揃った印象がある100V電源対応製品だが、「200Vでは工事が必要になる(=イニシャルコストが余計にかかる)というイメージがありますが、実は100Vでも系統を増やしたり30Aにしたりするなど、大抵のケースで電源工事が必要で、この場合は結局200Vと同じような工事費用が発生することになります」との指摘があった。100V対応製品を導入する際も、事前に設置環境の電源設備をしっかりと確認しておく必要がありそうだ。

サポート - 管理ツールとサポート期間に強み

オプションについては他社と比較してもさほど多い方ではないが、この点について同社は「その代わりというわけではありませんが、製品化した個々のモジュールや部品の組み合わせ試験を丁寧に行っている」という。また、わかりやすいGUIの管理ツールが用意されていることで「電話だけでも状況がすぐにつかめる」という環境が用意されており、結果としてサポート業務が効率化され、迅速な対応がとれるそうだ。

サーバブレードやスイッチといったモジュールについては5年の製品サポートが一般的だが、同社はシャーシについて7年の保守サポート(修理対応)を提供することで、「2年後に増設されたモジュールでのサポートが、初回導入のシャーシで可能としている」という。

ブレードサーバ導入でキモになる運用の自動化についても「障害発生時にプログラムの書き換えといった手作業が発生してしまうシステムもあると聞くが、当社の場合は本当の意味での"運用の自動化"を提供可能です」とのことだ。

富士通の"売り"は何か? - 提案力・信頼性を裏付ける"安心"

今回の取材時に最も多く出てきた言葉は「安心」だ。これは商談から納品、運用・保守まで一貫している同社のポリシーだと言っていい。「かんたんブレードセット」のような一体型商品についても、「福島県にあるグループ会社の工場で組み上げ・システム構築済み→商品が納品されたら(IPアドレスの設定などは必要だが)電源を入れるだけ」「(ブレードが複数になると通常はバラバラになるが)同じマニュアルが何冊も届かないよう、1セットにまとめる」など、ユーザーの負荷を軽減することで、結果的に"安心"を提供できるのだという。

「いくら性能面などの部分を解決しても、結局はトータルでのインフラの最適化という視点が要求されます」 この考え方が「提案力」という形になって現われているとのことだ。

「仮想化」について

大幅なTCO削減に成功した導入実績があります

-回答者-
富士通 プラットフォームビジネス推進本部 PRIMERGYビジネス推進統括部 プロジェクト部長
田中豊久氏
「規模が大きくなると、ブレード単体でサーバ集約するよりも、仮想化技術とブレードを組み合わせたサーバ集約で、より大幅なTCO削減を実現します」取材時はやや控えめな印象を受けた仮想化技術との関係性ついて、300台のサーバを仮想化技術で30台レベルにまで集約するという、ブレードサーバと仮想化技術の相乗効果が生んだ成功事例を紹介してくれた。また、「Hyper-V」の位置付けについては、「あとは導入実績を積むだけ」という状況にあるそうだ。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.9(2009年3月発刊)
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