日立製作所と東北大学電気通信研究所は5月18日、高速なデータ処理が可能なHDDを搭載した高速ストレージシステムと、大容量HDDを搭載した大容量ストレージシステムを組み合わせた2階層の階層ストレージシステムにおいて、「予知型データ配置方式」により高速かつ低消費電力での稼動が可能なストレージシステム技術を開発したと発表した。
新システムは、日立と東北大が開発した新しい電力制御技術である予知型データ配置方式を、ストレージシステムに初めて搭載したもの。
まず最初にデータ処理の開始時間を計算・予測し、必要なデータを事前に大容量ストレージシステムのHDDから高速ストレージシステムのHDDに移動させる。データ処理は高速ストレージシステムで実行するため、高速な処理が可能という。
さらに、処理後にはデータを大容量ストレージシステムのHDDに書き戻すことで、消費電力の大きい高速ストレージシステムのHDD台数を削減できるとしている。これにより、階層ストレージシステムで高速でのデータ処理と低消費電力の両立が可能とのことだ。
なお同研究は、文部科学省の委託研究である「高機能・超低消費電力スピンデバイス・ストレージ基盤技術の開発」プロジェクトにおいて実施したもの。
大規模なデータを格納するストレージシステムにおいては近年、長時間アクセスの無いHDDを非稼動状態にするMAID(Massive Arrays of Idle Disks)技術を製品に搭載するなど、省エネへの対応が進んでいるという。このような状況の中で日立と東北大はMAID技術を発展させ、データ処理の開始時間を予測する予知型データ配置方式を用いることで、アクセスするデータ領域や時間帯を前もって限定することが困難な場合でも高速かつ低消費電力で稼動可能なストレージシステム技術を開発した。
今後両者は、高速ストレージシステムと大容量ストレージシステムの間でのデータ移動をさらに効率化することで、より一層の消費電力の削減を目指す。さらに、データの高い処理性能が要求される他のアプリケーションへの適用を検討していくとしている。