日本オラクルは5月14日、企業情報システムの統合管理を実現するソフトウェア「Oracle Enterprise Manager 10g Release 5」を発表、出荷を開始した。ソフトウェアの運用・管理ツールは数あるが、新しいOracle Enterprise Managerの最大の特徴はハードウェア、「アプリケーション層を含む、システムの全層に渡る自動/一元管理が可能」(日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏)という点だ。「競合他社の管理ツールはハードウェアの障害監視やネットワーク管理などのインフラ層の管理が中心。だが実際に障害が起きやすいのはアプリケーション層であり、ここの運用管理を強化することでビジネスへのインパクトを強めることができる。全層に渡って自動化された運用管理機能を提供できるのはOracle Enterprise Managerだけ」(三澤氏)と強い自信を示す。
Oracle Enterprise Manager 10gR5は、データベース/ミドルウェア/アプリケーションの稼働状況の監視、リソース調整、ライフサイクル管理など、運用保守に関するあらゆる作業を一元的に行うことができる統合管理ソフトウェア。新バージョンでは、Oracle Database 11gで追加された新機能をサポートしており、パフォーマンス、シンプルな管理、データベースリプレイ自動化、セキュリティ、コンプライアンス遵守などの面におけるデータベース管理機能が大幅に強化されている。
なかでも昨今のコンプライアンス強化の風潮を反映し、データの機密性を保持したテストを可能にする「データマスキング拡張機能」などは同社らしいユニークな実装といえる。「Webアプリケーションのテストは、可能な限り生のデータを使用して行うことが望ましいが、個人情報や機密データを目につく形でやりとりしたくないのが本音。その点、10R5ではデータベースインスタンスのコピー(クローニング)とデータのマスキングを同時に行うことができる」と、日本オラクル システム事業統括本部 データベース製品ビジネス推進本部 エバンジェリスト 池田真人氏。たとえば"03-1234-5678"という実際の電話番号を、コピーと同時に"000-1111-2222"のようなデータに自動的にマスキングできるという。もちろん条件ベースのマスキングや複合マスキングも可能だ。これらの操作はグリッドコンピューティングを一元管理する「Oracle Enterprise Manager Grid Control」上で一括して行える。
また、Oracle Enterprise Manager 10gR5は「ひとつひとつの機能が大幅に向上した製品」(三澤常務)と同社は自信を見せているが、Oracle 11g以外にも、Oracle VM、Fusion Middleware、Siebel CRM、Application Diagnostic for Javaなどの管理機能も強化/拡張されている。三澤常務は、「現在は運用管理の工数削減がきびしく要求される時代。そのためには自動化というプロセスが欠かせない。Oracle Enterprise Managerは今までにないコンセプトの、まったく新しいカテゴリのアプリケーション管理ソフトウェア」としており、システムの全層管理を提供できる唯一のソリューションとしての優位点を全面的に押し出していく。
価格は1プロセッサあたり38万400円から。