岩谷産業はこのほど、独立行政法人産業技術総合研究所との共同研究により、穀物と競合しない木質系バイオマスを原料とする「DME(ジメチルエーテル)」の合成に成功したと発表した。
DMEはLPガス(液化石油ガス)と似た性質を持ち、LPガスの補完やディーゼル燃料の代替等が可能な合成ガスで、燃焼時に黒煙や粒子状物質(PM)の発生が無く、太陽光下での分解が容易なため温室効果ガスとならないクリーンエネルギー。同研究によるバイオマスDMEの特長は、カーボンニュートラルとされる木質系のバイオマスを原料としていること。生産コスト等の課題を残すも、主食である穀物と競合せず、環境負荷低減、CO2排出削減やエネルギー資源の多様化につながる新エネルギーとして期待されるという。
今回の合成過程では、原料としてユーカリチップを使用。1MPa未満の条件で木材をガス化してDMEを生成し、120gのDMEサンプルを得られたとのこと。同社によれば、過去のバイオマス由来の燃料の研究は大規模かつ大量生産を目的としたものが主流であり、高圧ガス保安法の適用範囲から除外される1MPa未満の環境における成果は小規模生産事業モデルとして大きな可能性を持つとしている。
今後同社ではバイオマスDMEの特長をふまえ、クリーンエネルギーとして自動車燃料への応用、および家庭用エネルギーとしてLPガスとの混合利用を中心に研究を継続するとのことだ。