矢野経済研究所は5月14日、2009年1月から4月(「H1N1型」新型インフルエンザ発症前)にかけて、国内の関連企業、自治体の感染症担当部署、関係省庁を対象に行った「パンデミック対策製品市場調査」の結果を発表した。同調査によると、2008年の市場規模は486億円となり、2009年の市場規模は1,016億円に達する見込みだという。
同調査では、パンデミック対策製品を「新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)とその後の国内蔓延期に備えるための製品」と定義し、調査対象は、「ゴーグル」、「マスク」、「ガウン」、「感染防御・隔離製品」、「消毒薬」、「診断薬、予防・治療薬」の主要6分野としている。
2008年の市場規模は、タミフル(一部リレンザ)の備蓄が国・地方自治体で一巡したため、売上高ベースで前年に比べて約315億円減の486億4,000万円となった。しかし、タミフルなどを除いた「診断薬、予防・治療薬以外の製品」の市場規模は382億円と、前年比で約9%の伸びを示した。
2009年の市場規模は1,016億6千万円に達すると予測されている。これは新型インフルエンザ発症前の予測値だが、市場は全体的に成長傾向にあり、特に抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)は、行政による全国民の23%分から45%分まで追加備蓄を行うという追加備蓄の方針によって大幅に売上が増加する見通し。
新型インフルエンザ対策への関心が高まったことで、大手企業に加え、中堅企業においてもBCP(事業継続計画)策定への意識が浸透した。それらの需要を当て込み、保険会社やコンサルティング会社が「BCP策定支援サービス」を商品化するなどの動きも見られている。