IDC Japanは5月13日、取材および2008年11月に実施した調査に基づく金融機関におけるIT投資動向調査の結果を発表した。同社の発表によると、2009年度の大手金融機関におけるIT投資予算は、前年度から10~20%程度と大幅に減少する見込みであることがわかった。

同社では、2009年度の大手金融機関のIT投資予算が大幅に減少する要因の1つに、2007年度~2008年度をピークに進められた大型プロジェクトが終息したことによる反動があるとしながらも、最大の要因は、世界的な金融危機の影響により大手金融機関の業績が急激に悪化したため、本来予定されていた大型新規開発プロジェクトが延期・凍結したことがあると分析している。

一方、地方銀行、信用金庫・信用組合の一部では、2009年度も勘定系システムなどの刷新、システム共同化のためにIT投資予算は比較的堅調と見られるという。また、生命保険を中心とした保険会社においても、不払問題を契機に基幹系システムを始めとした広範囲でのシステム刷新・増強が行われているため、2009年度も堅調なIT投資が継続すると予測している。

2009年度の金融機関のIT投資重点項目としては、「次世代勘定系システム」(23.1%)、「顧客管理系システム」(16.9%)、「インフラ統合」(16.3%)の回答率が高くなっているが、次世代勘定系システムは主に地方銀行、信用金庫・信用組合による回答だという。

一方、顧客管理システムとインフラ統合の回答率は銀行、保険、証券ともに高いが、これは景気後退で業績が悪化する金融機関が増加するなか、顧客の囲い込み、業務・システム効率の改善が継続していることが要因として挙げられるという。