数回に分けて展開している「QuarkXPress 8」徹底攻略。今回も「QuarkXPress 8公認ガイドブック」(弊社刊)の筆者のひとり冨山詩曜が、「3.3」、「4.1」などの旧バージョンのユーザー向けに、QuarkXPress 8の便利なチップスを紹介する。7回目となる今回は、QuarkXPress 8の共有とコンポジションゾーンについて解説したい。
共有機能
「共有」の機能がついたのはQuarkXPress 6からだが、3.3、4.1しか知らない読者のために、それがどんなものかを説明しよう。例えば、イベントの告知用にデータを作っているとする。イベントとなれば当然ポスター、チラシがあり、場合によってはチケット、告知用のはがきなどもあるかもしれない。そして、それらにはすべて、イベントのタイトル、メインとなる出演者の名前、開催日時などの情報が書いてある。こうした共通情報に変更があったとき、すべてをひとつひとつ修正するのは手間だし、修正漏れや修正ミスをしてしまう可能性もある。
いくら校正しても、思い違いや情報不足は訂正できない。仮に、メインパーソナリティの名前が「山崎」だったとする。印刷の直前、一応本人にも「こんな仕上がりになる予定です」と見せたところ、「私の名前の『崎』は旧字体なんですが」と言われたとしよう。さあ、現場は大混乱だ。急遽ポスターを修正したものの、はがきの修正を忘れ てしまった……。そんな失敗を防ぐには、QuarkXPressの共有機能で、共通のテキストはすべて同期しておくと良い。そうすれば、一カ所、例えばポスターを直すと、その情報変更はチラシ、チケット、はがきにも適用される。
共有の対象はテキストや画像などの「コンテンツのみ」か、その属性までを含めた「コンテンツと属性」のどちらかに指定できる |
共有コンテンツパレットは、共有の情報を管理する。一度共有したアイテムを、後から同期解除することも可能だ |
コンポジションゾーン
共有機能の発展系として、QuarkXPress 8には「コンポジションゾーン」の新機能がついた。少ない文字数でこの機能を説明するのは非常に困難だが、ごく簡単に言えばこれは、一つのファイルを複数の人が同時に編集できるようにする機能だ。例えば、同一ファイル内の記事Aはある人が、記事Bは別の人が校正している。記事Cにはまだ内容がなく、その部分はあるライターが直接原稿を書いている。一方、このファイルはデザイナーによって開かれ、記事A、B、Cのレイアウトが試行錯誤されている。これらの同時進行を可能にするのがコンポジションゾーンだ。
コンポジションゾーンは外部ファイルとして保存することもできる。例えば、会社の電話番号、メールアドレスをコンポジションゾーンの外部ファイルとして保存し、その情報を印刷物やWebに使用するときは、必ず外部ファイルを貼り込むことにしておくと便利だ。情報が変わったとき、既存データをすべて手作業で修正すると、直し忘れのデータが出る可能性がある。また、新しいデータにうっかり、古い情報を入力してしまうかもしれない。コンポジションゾーンにはこういう利用法もあるのだ。
次回は、さらなる発展系とも言える「ジョブジャケット」の新機能を紹介したい。
QuarkXPress 8公認ガイドブック
今回は、QuarkXPress 8の共有とコンポジションゾーンにまつわるチップスを紹介。QuarkXPress 8は、実際の操作はもちろんのこと、ワークフローも見据えた、全体的な効率アップを前提にしている。自社にスムーズに導入活用するにはどのように使っていけばいいのかお悩みの方は、発売中の「QuarkXPress 8公認ガイドブック」をぜひ手に取ってほしい。QuarkXPress 8をフルに活用するために必携の本書は、新機能の紹介はもちろんのこと、3.3、4.1ユーザのための移行テクニックや、ワークフロー解説なども盛り込まれた幅広いコンテンツで、ユーザをトータルにサポートする作りとなっている。「そんなの知ってることばかり」という方もご安心を。QuarkXPressのカラー管理やXMLがベースとなる新機能ジョブジャケットや、Flashデータを書き出すインタラクティブレイアウトなどについて、きちんと触れているのは本書だけ。まさに、QuarkXPress 8の特徴を網羅した解説書となっている。