NECフィールディングは、2008年度連結決算を発表した。
売上高は前年比1.4%減の2,110億円、営業利益は18.2%増の104億円、経常利益は7.8%増の100億円、当期純利益は4.6%増の52億円となった。利益項目ではすべて増益になるとともに、公表値を上回る実績となっている。
ITシステムの保守事業を中心とするプロアクティブメンテナンス事業の売上高は、前年比4.4%増の1,020億円、営業利益は26.1%増の152億円となり、こちらも公表値を上回った。
一方、ITシステムの導入支援、ネットワークシステム構築、ワンストップ型のシステム運用サポートなどを行うフィールディング・ソリューション事業の売上高は、前年比6.3%減の1,090億円、営業利益は24.3%減の41億円となった。
保守や修理サービスといった既存領域では自主契約の促進や販売店との連携強化、NECインフロンティアシステムサービスの子会社化の影響もあり30億円の増収。協業やソフトサポート拡大、IT/ネットワーク統合領域といった注力領域では13億円の増収、運用サポートおよびヘルプデスクによる注力領域で16億円の増収、セキュリティやVoIP、い~るでぃんぐ(オフィス用品通販)で27億円の増収効果があったものの、フィールディングソリューションに含まれる既存領域におけるシステム展開や、サプライ、メディアサービス事業をあわせて、116億円の大幅な減収となったことで、全社連結業績では減収となった。フリーキャッシュフローは、22億円増加の62億円。
「注力領域においては、2008年度も約15%の成長、56億円の増収となった。過去5年間に渡って、40 - 60億円規模での増収を続けている。だが、フィールディングソリューション既存領域では、景気の影響を直接受けたこともあり、大幅な減収になった。2008年度は、先行投資をしながらも増益を達成したことは大きな意味があり、プロアクティブメンテナンスの営業利益率は2.6ポイント改善し、15.0%になっている」(NECフィールディング 片山徹社長)と総括した。
2009年度の業績予想は、売上高が5.3%減の2,000億円、営業利益は4.6%減の100億円、経常利益は0.8%減の100億円、当期純利益は2.4%増の54億円を見込む。そのうち、プロアクティブメンテナンス事業の売上高は、前年比横ばいの1,021億円、フィールディング・ソリューション事業の売上高は10.2%減の979億円を計画。プロアクティブメンテナンスの売上高構成比は、51.1%ととなり、初めて過半数を突破することになる。「厳しい環境か続くが、景気の影響を最小限にとどめる。100億円規模で売り上げが落ちても利益を確保し、最終利益の黒字化にはこだわる」とした。
2009年度のテーマとして「ストック・注力領域の拡大と費用構造改革の継続」を掲げ、「保守事業革新戦略」「システムアフターサポート拡大戦略」「フィールディングソリューションフロービシネス拡大戦略」「経営基盤強化戦略」「費用構造改革のさらなる推進」の5つに取り組む姿勢を示した。
「保守事業革新戦略」では、事業規模の堅持を目指し、ハードウェア保守からプラットフォーム全般への保守範囲拡大を掲げるとともに、OSや特定ミドルウェア領域へのサポート範囲の拡大、ワンストップサポート体制の強化、サポートパック新製品投入による保守契約の拡大、ITベンダとの協業による他社製品保守の拡大に取り組む。
「システムアフターサポート拡大戦略」では、LCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを中心としたストックビジネスの拡大を目指し、サポート範囲拡大に向けた技術力向上と要員育成、バックヤード体制強化による受注拡大、新サービスのラインアップ強化とメニュー体系の再構築に取り組む。
具体的には、現在1,300人のアドバンスドCEを1,500人に、各種提案を行うエージェントCEを190人から200人に、プラットフォームSEを60人から160人にそれぞれ拡大するほか、商談案件支援機能としてプラットフォームLCM推進室の陣容を300人体制とする。
さらに、統合運用サポートセンターを活用したリモート+オンサイト型サービスの提供、オンサイトLCMサービスのフルメニュー整備、中堅・中小ユーザー向け一括サポート型の運用サービスのメニュー化、販売店向けサーバー導入パックサービスメニューの拡大、マルチベンダーシステム保守メニューの拡大などを図る。あわせて、SaaS/クラウド型運用サービスにも乗り出す。
「フィールディングソリューションフロービシネス拡大戦略」は、NECグループとの連携強化により、業種別営業体制強化による顧客の深耕、首都圏のマーケット規模別営業体制の強化のほか、NECフィールディングの全国拠点網を生かしたSMB市場の開拓と深耕などに取り組む。さらに、セキュリティ/災害、環境領域への新サービス投入による拡販、いーるでぃんぐの商品群拡大によるサプライ事業の成長を目指す。さらに、プリンタ修理履歴データ活用による26万5,000台を対象としたリプレース促進を図る考えだ。
「経営基盤強化戦略」では、第三者の顧客満足度(CS)調査で、首位から脱落したことを重要視。首位奪還を目指した「チャレンジCSダントツCS NO.1」活動として、トラブル初期フェーズの改善、顧客とのコミュニケーション強化、基本作業の強化運動、次世代コールセンター網の構築による迅速な顧客対応の実現などに取り組む。「J-SOX法や工事進行基準への対応強化、徹底した業務監査の継続も行い、コンプライアンス強化や情報セキュリティ対策を推進する」(片山社長)とした。
「費用構造改革のさらなる推進」では、過去2年間に渡って取り組んできた生産革新活動を継続。今年度上期には、神奈川県大和市の大和修理工場を川崎補給倉庫へ移転統合し、約2億円の費用効果を目指すほか、修理リードタイムを14日から12日に短縮。全国211カ所の拠点倉庫を、64カ所に集約し、効率化を図る。また、4月1日で吸収したNECインフロンティアシステムサービスの経営統合による物流機能の見直しをはじめとする業務効率化、サービスプロセス・フォーメーション改革による保守作業の合理化などに取り組むことを掲げた。