人々が憧れるブランドイメージの高い企業で働く人は、働きがいを感じているのだろうか -- 先ごろ発表された、ブランドイメージと学生の就職人気企業、労働者の働きがいを調査したいくつかのランキング結果を比較し、相関性を検証してみた。

日経BPコンサルティングが行っている「ブランド・ジャパン2009」は、ブランドイメージを総合的に評価したランキング。今年のランキングで、一般消費者から見たブランド力の総合1位は2年連続で「任天堂」が輝いた。以下では、前年11位の「Google」が2位に急浮上したほか、3位に「ソニー」(前年4位)、4位に「スタジオジブリ」(同2位)、5位に「パナソニック」(同10位)など、世界的にも名が知られる日系企業や製品名のほか、消費者にもなじみが深い外資系ブランドが名を連ねている。

一方、労働者の側から"働きがい"を評価したランキングはどうだろうか。Great Place to Work Institute Japanが発表した「日本の『働きがいのある会社』2009」によると、トップは「モルガン・スタンレー」。3位の「マイクロソフト」を除くと、20位までの顔ぶれはブランド力ランキングとはまったく違う結果となり、ブランドイメージと働きがいはあまり直結しない実態が見てとれる。

次に、学生の就職希望企業のランキングとブランドイメージを比較してみた。毎日コミュニケーションが2010年に卒業予定の大学生を対象に行った「大学生就職人気企業ランキング」によると、総合トップは文系が「JTB」、理系が「ソニー」となっている。ランキング上位をブランド力ランキングと並べてみた場合、理系1位の「ソニー」、2位「パナソニック」、4位「サントリー」、6位「シャープ」はそれぞれブランド力ランキングで3位、5位、9位、8位に入っている。文系では、ブランド力12位の「オリエンタルランド(ディズニー)が7位にランクインしたほか、「サントリー」が10位となり、理系同様トップ10入りを果たしている。

今回取り上げた各ランキングは、ソースや調査対象が異なるため、一概に比較することはできない。しかし、少なくとも学生の就職活動においては、企業の実態よりもブランド力のほうが重視される傾向にあるということが推察できそうだ。

「ブランドジャパン2009」(B to C編)トップ20(出典: 日経BPコンサルティング)

順位 前年 ブランド 順位 前年 ブランド
1位 1位 任天堂 11位 15位 東急ハンズ
2位 11位 Google 12位 3位 ディズニー
3位 4位 ソニー 13位 29位 ハーゲンダッツ
4位 2位 スタジオ・ジブリ 13位 25位 フジテレビ
5位 10位 パナソニック 15位 54位 マイクロソフト
6位 5位 ニンテンドーDS 16位 42位 マクドナルド
7位 12位 ユニクロ 17位 54位 Wii
8位 8位 シャープ 18位 9位 ヤフー
9位 26位 サントリー 19位 29位 無印良品
10位 17位 Windows 20位 19位 iPod

「大学生就職人気企業ランキング」文系総合トップ10(出典: 毎日コミュニケーションズ)

順位 前年 企業名
1位 1位 JTB
2位 2位 資生堂
3位 3位 ANA(全日本空輸)
4位 4位 三菱東京UFJ銀行
5位 5位 JAL(日本航空)
6位 9位 ベネッセコーポレーション
7位 10位 オリエンタルランド
8位 19位 JR東日本(東日本旅客鉄道)
9位 7位 三井住友銀行
10位 11位 サントリー

「大学生就職人気企業ランキング」理系総合トップ10(出典: 毎日コミュニケーションズ)

順位 前年 企業名
1位 3位 ソニー
2位 8位 パナソニック
3位 2位 資生堂
4位 7位 サントリー
5位 11位 味の素
6位 5位 シャープ
7位 1位 トヨタ自動車
8位 12位 旭化成グループ
9位 19位 キヤノン
10位 4位 カゴメ

日本の「働きがいのある会社」2009 トップ10(出典: Great Place to Work Institute)

順位 企業名
1位 モルガン・スタンレー
2位 リクルートエージェント
3位 マイクロソフト
4位 ワークスアプリケーションズ
5位 アメリカン・エキスプレス
6位 インテル
7位 日本イーライリリー
8位 アサヒビール
9位 東京海上日動システムズ
10位 キッコーマン