いつもご愛読ありがとうございます。地味に続いて参りました「ネット事件簿アクセスランキング」も、ついに2年目に突入いたしました。毎月、暗澹たる様のネット関連事件ではありますが、それを通して見えてくる社会やネットの風景をツツいたりくすぐったりして行きたいと思います。これからもよろしくお願い申し上げます。さて、今月は陰に隠れてコソコソやろうとしたものの……というセコい事件が多かったようで。
2009年3月のネット事件簿 Top10(※)
順位 | 記事 | 掲載日 |
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1位 | Wikipediaスパイラルにハマった? 閲覧・投稿繰り返した職員を処分 - 郡山市 | 3/13 |
2位 | スマイリーキクチさんブログで中傷、6人を名誉毀損などで書類送検 - 警視庁 | 3/27 |
3位 | 出勤後はまずアダルトサイト? 閲覧しすぎの職員を懲戒処分 - 東京都教育庁 | 3/30 |
4位 | 色鉛筆1ダースで22万円詐取、ネックレス出品の女を詐欺で逮捕 - 兵庫県警 | 3/27 |
5位 | 面接官に"爆破予告"で自己PR? 採用求めて過激行動の無職女逮捕 - 埼玉県警 | 3/18 |
6位 | 音楽ファイルの無断公開者は誰だ? 日本レコ協会員10社がISPに情報開示請求 | 3/12 |
7位 | ケータイから不正アクセス、プロフ勝手に削除で少女2人書類送検 - 山梨県警 | 3/11 |
8位 | 「キメ友」管理の女を逮捕、覚せい剤入手のための出会い系…… - 千葉県警 | 3/6 |
9位 | mixi掲示板を悪用、「EXILE」ファンから現金だまし取った女逮捕 - 青森県警 | 3/10 |
10位 | ネットによる「人権侵害事件」急増、名誉毀損とプライバシー侵害が8割 | 3/30 |
※ 各記事の掲載日(3/1〜3/31)から1週間のアクセス数をもとにしています。
自主返納額をどう算出したのか気になった
"Wikipediaスパイラル"という語感がツボだったのか、タレント絡みの話題を押さえて郡山市職員の事件が1位にランクインした。
この職員が閲覧・投稿を行っていたのは「2006年9月〜2009年1月の期間」「約15時間」「436回」だったという。この数字が正しいなら、436回を日数(883日間)で割ると1日約0.5回。つまり2日に1回のペースで投稿・閲覧を行ったことになる。だが土日を除くと630日、さらに祝祭日・休暇を除けば、勤務日数は600日を下回る。これだとほぼ3日に2回の頻度という計算になる。1回の平均時間は約2分。短時間でもとにかく定期的に手入れしないと気が済まない、というのはネットに限らず何かにハマった人たちに見られる傾向だ。
ところで、懲戒処分として2カ月間減給10分の1を科されたこの職員だが、この他に「約5万4,000円を自主返納する」という。これは何を元に算出された金額なのだろうか。罰金? にしてはちょっと中途半端だ。"返納"というからには、給与を返す、つまり勤務時間15時間分がこの金額に相当するということか。時給にすると5万4,000円÷15時間で……3,600円! 市役所職員の時給は3,600円ということなんですか?!
しかしそれでは1日8時間で週40時間、月160時間で計算すると57万6,000円! 気になって福島県人事委員会の資料で行政職給料表を調べてみたところ、これは職務の級が「10級」、号給が「14号」に近い金額。公務員の給与は、昇進(昇任)によって上がる「級」と勤続年数や成績によって上がる「号」によって決まる。10級というと最も上の級なので、30代の職員がここに相当するとは考えにくい。
では、もしかして2倍返しかも? と仮定して計算すると、時給1,800円、月に28万8,000円となる(諸手当等除く)。これだと4級の11号でピッタリの金額だ。国家公務員の事例では4級は係長相当となっているようだし、まあ現実味のある金額だ。実際のところ、超エラい人なのか、2倍で返納したのか、本当は30時間だったのかは謎だが、いずれにせよ想像の域を出ない計算なので、ご了承のほどを。
人権侵害に遭ったら……人KENまもる君とあゆみちゃんに相談しよう
10位の記事は、法務省による「人権侵害事件」についての発表内容を報じたもの。発表の内容をさらに詳しく見てみよう。この調査を発表した法務省の人権擁護機関は、人権侵害を受けた人からの申告などにより被害の救済に当たる役割を持つ。申告された内容のうち、2008年に新たに救済手続きが開始された人権侵害事件は2万1,412件で前年比0.4%の微減。しかし、「女性・児童・高齢者・障害者に対する暴行・虐待」などが4,317件で前年比2.3%増、「社会福祉施設における人権侵犯事件」が128件で同12.3%増など、社会問題としての根深さを感じさせられる面もある。
記事でも報じたようにネット関連の人権侵害事件については、2006年が282件、2007年が418件、そして2008年に515件(前年比23.2%増)と大幅に増加しているのだ。このうち、同機関がISP等に対して削除要請を行ったのは75件(同47.1%増)。事例として、本人の意に反して掲示板に個人情報が書き込まれたり、犯罪を犯したとされる少年の顔写真が掲載された等が挙げられている。
掲示板、ブログ、SNS、プロフなどCGMがネットユーザーに浸透している現在、自分がどこかでこうした被害に遭わないという保証はない。では、もし実際に人権を侵害される事態に直面した場合、どう対処したらよいのだろうか。
同機関の救済手続きを要請する場合、まず法務局・地方法務局または支局に設置されている人権相談受付窓口に被害の申告を行う。申告内容が調査された後、侵犯事実が認定されると救済手続きの開始となる。手続きの内容は、法律上の助言などを行う「援助」や話し合いを仲介する「調整」から、厳しいものでは文書による「勧告」や刑事訴訟の「告発」などとなっている。
すぐに申告しないまでも、法律上どうなるのか疑問のある場合は、無料で相談も受け付けてくれる。法務局・地方法務局/支局での電話相談のほか、同機関Webサイトや携帯サイトからの相談も可能だ。同サイトではイメージキャラの「人KENまもる君」と「人KENあゆみちゃん」も、一人で悩まず相談するよう呼びかけている。
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