Advanced Micro Devices(AMD)の日本法人である日本AMDは4月24日、同社のサーバ向けプラットフォームのロードマップを更新、次世代Opteronとなる「Istanbul(開発コードネーム)」の動作デモを公開した。
同社のマーケティング&ビジネス開発本部 エンタープライズ・プロダクトマーケティング部 部長である山野洋幸氏は、「従来の予定ではIstanbulは2009年第3四半期に出荷を予定していたが、順調に立ち上がっていることもあり、2009年6月中に出荷を行うよう予定の前倒しが決まった」と語る。
Istanbulは「Socket F」に対応するCPUであり、前世代の「Shanghai」、さらに前の「Barcelona」と互換性があり、デモで使用した筐体についても「元々Shanghaiを載せてデモを行っていたマザーボードで、BIOSの更新だけで他にはなにもせずに動くことが確認された」(同)とし、同一の消費電力の枠内で従来システムと比べ、手軽に最大30%の性能向上が図れることを強調した。
同社のプロセッサには仮想化技術「AMD-V」が搭載されてきたが、Istanbulではこれが「AMD-V 2.0」へと拡張される。具体的には2009年夏ころに登場予定のチップセットで、AMD-Vi(IOMMU)のサポートなどが盛り込まれるという。また、省電力化技術である「AMD-P」も最高動作周波数をBIOS上で制限をかけることで強制的に省電力化を図る「AMD Power Cap Technology」や「APML(Advanced Platform Management Link)」などを盛り込んだ「AMD-P 2.0」へと拡張される。
また、Istanbulの次のCPUとして12コアの「Magny-Cours(開発コードネーム)」、8コアの「Sao-Paulo(開発コードネーム)」の開発が進められてきたが、「Sao-Pauloの名称は消滅し、8コアもMagny-Coursに統一された」という。
Magny-Coursは、"Direct Connect Architecture 2.0"が採用され、Shanghaiと比べ2倍のメモリチャネル、3.3倍のメモリ速度、2.2倍のキャッシュメモリなどが実現されるとしており、「開発はかなり順調に進んでおり、2010年早々には市場投入できるはず」(同)とする。
また、2010年以降はプラットフォームのロードマップがこれまでのプロセッサ数によるシリーズ分けから、パフォーマンス重視の「Performance/Expandability」向けの製品と、クラウド環境を中心としたスケールアウトを想定した「Power Efficiency/Value」向け製品の2つに分ける。主にパフォーマンスを重視する方が2/4-socket対応のSocketG34となり、「G34 Platform(Maranello:コードネーム)」と呼ばれることとなる。もう一方は、1/2-socket対応となりCPUソケットはSocketC32で、「C32 Platform(San Marino:コードネーム))」と呼ばれることとなる。
それぞれの対応CPUのブランドは、SocketG34向けが「Opteron 6000シリーズ」、SocketC32向けが「Opteron 4000シリーズ」となり、6000シリーズの最初のCPUがMagny-Coursとなり、4000シリーズ対応の4/6コアCPUは「Lisbon(開発コードネーム)」となる。いずれも45nmプロセスを用いて製造されるという。
さらに、2011年には、新たなアーキテクチャ「Bulldozer(開発コードネーム)」を採用したCPUとして32nmプロセス採用の12/16コア「Interlagos(開発コードネーム)」および、6/8コア「Valencia(開発コードネーム)」の出荷が計画されている。なお、それぞれプラットフォームはMaranello、San Marinoに対応するという。
このほか、同社では45nmクアッドコアOpteronとして、低消費電力版となる「AMD Opteron プロセッサ EE」を追加したことも発表している。Opteron EEは、40W ACPであり、55W ACPのOpteron HEと比べ、プラットフォームレベルで13%、アイドル時には最大14%の消費電力削減が可能になるという。
なお、Istanbulは同社の製造部門がスピンアウトして設立された「GLOBALFOUNDRIES」が製造を担当する初のCPUだとのことである。