資生堂 情報企画部 木村公紀氏 - Oracle OpenWorld Tokyoにて

2003年ごろから化粧品業界を取り巻く状況は、競合他社や販売環境の変化が多発し、ビジネスシーンがめまぐるしく変わり始めた - とするのは資生堂 情報企画部 木村公紀氏。同社はこうした変化に対応するため制度や体制の見直しを実施。また従来のブランド体系からメガブランド構想への転換への取り組みや、時代の変化に迅速に対応するための取り組みを開始したという。

同社は2006年、3カ年の戦略課題として次の6つを定義。度重なる制度改定や組織変更で肥大化したシステムに個別の課題対応を実施するのは限界があるという判断から、新しい基盤システムの構築に取り組む。

  • 化粧品・FTS連結
  • H&BC再編
  • BM制
  • 取引制度改定
  • 物流構造改革
  • 会計

コンセプトやプランをまとめて開発ベンダへ提案。最終的にマスター統合に関する知見が優れていたというポイントから新日鉄ソリューションズを開発ベンダに選定、システム資源の有効活用や拡張性の高さからデータベースにOracle RACの採用を決定。ベンダの統一性という視点もあり、BIツールにはOracle BIEEを選定している。新日鉄ソリューションズはOracleプロダクトの活用にも精通しており、その点でも適切な組み合わせというわけだ。

「もっとも苦労したのはパフォーマンスチューニング。大量のデータから検索した結果がすぐに返ってくるレスポンスにこだわった。この点については一切妥協せずにオラクルと新日鉄にチューニングを実施してもらった」と木村氏。パフォーマンスチューニングには2カ月の時間を費したという。2008年2月にはユーザ研修を開始、4月に1次リリース、6月に2次リリースを実施し旧システムをすべて停止して新しいシステムへ移行している。

従来はAS/400とメインフレームを中心としたシステムを構築していたが、制度改定時に変更すべき箇所が多かったという。このため新基盤システムでは基本データベースにデータを集約。さらに機能の統廃合を進めて使っていない機能の削除、同じような機能の統合を実施。最終的に200システム、10,000以上のプログラムを統合することになったという。扱うデータの総量は23テラバイト、総利用者数は5,000ユーザ、最大同時アクセス数は400アクセスという大規模システムだ。

従来のシステムではパワーユーザ、戦略立案に利用するユーザ、営業判断に使うユーザはそれぞれ別のシステムにアクセスしていたため情報格差が発生していたが、新システム導入後には単一のシステムですべてのユーザが利用できるようになったという。