デジタルアーツは22日、家庭のインターネット利用を視覚的に確認できる『インターネット利用診断』を24日から提供開始すると発表した。無料で提供され、利用者がどんなサイトにアクセスしているかなどを確認できる。特に保護者が子供のネット利用を把握するためのツールとして役立ててもらいたい考えだ。

インターネット利用診断の画面。大きな「診断開始」ボタンをクリックするだけで分析が行われる

インターネット利用診断は、同社のフィルタリングソフト「i-フィルター 5.0」の機能の一部を改変して無料ツールとして提供するもの。インストールして実行すると、PC内の履歴やキャッシュを分析し、どういったカテゴリのサイトにアクセスしているかをグラフ化して表示してくれる。

インターネット利用診断は、i-フィルターでフィルタリング強度を「小学生設定」とした場合に閲覧を許可/禁止するサイトの割合を円グラフで表示する。i-フィルターではWebサイトを67カテゴリに分類。そのうち、41カテゴリがフィルタリング対象として設定できるが、インターネット利用診断では家庭で閲覧に注意が必要な22カテゴリを抽出し、そこからさらに閲覧件数の多い上位5カテゴリの割合を表示する。

診断が終了すると、「小学生設定」で閲覧禁止対象のサイトがどれだけ検出されたか分かりやすく表示される

全サイトのうち、禁止対象がどれだけ含まれるかの円グラフ

禁止対象サイトのうちで、アクセス上位5つのカテゴリが表示される

さらにそのカテゴリで上位3位のサイトも確認できる

各カテゴリに含まれるサイトも確認することができ、ユーザーがどんなサイトにアクセスしたかを確認できる。また、検索履歴を表示することで、インターネットをどんな用途で活用しているかをチェックすることも可能だ。

検索履歴も表示可能

親の意識は「うちの子に限って」

総務省の2008年の調査では、家庭におけるインターネットの人口普及率は75.3%に達し、子供のネット利用も、6~12歳では約7割、13~19歳では9割以上になっている。そうした中、同社が今年2月に小学校4~中学校3年生までの子を持つ親に行った調査では、フィルタリングの認知度は約7割になるものの、実際の利用率は24%程度にとどまっていた。

総務省調査による、子供のネット利用率

フィルタリングの認知度と普及率

利用しない理由として多く挙げられたのが、子供はネットのトラブルに巻き込まれない/好ましくないサイトを見ない、ネット利用法を親子で話し合っているといった「うちの子に限ってという意識」(同社)だった。

フィルタリングを利用しない理由

しかし、たとえば「プチトマト」という一般語を検索サイトで検索すると、子供には好ましくないサイトが表示されるといったように、子供が気をつけていても好ましくないサイトにアクセスしたり、コミュニケーションサイトだと思っていたら出会い系だったりと、ネット利用は複雑で難しい。

プチトマトは、80年代ごろに登場したヌード写真集の名前。現在でも検索でこうした情報が表示される

いったんアダルトサイトを訪問すると、リンクやバナーで、次々アダルトサイトにアクセスできてしまう

また、日本PTA全国協議会の08年3月の調査では、小学5年生の3割以上が、「親は自分のインターネット利用の状況を少ししか知らないか、ほとんどあるいは全く知らない」と答えており、親子の間で認識のずれも見られる。同社のサポートには、親が寝静まった深夜に子供がアダルトサイトなどを閲覧し、朝起きられなくなる、といった問題も寄せられているという。

親が子供のネット利用を把握できているとは限らない

フィルタリングソフト非利用者は、子供がトラブルに巻き込まれたり、好ましくないサイトを見ていたりしたらフィルタリングの導入を検討するという回答が多い。実際にそうした状況になっているかどうか、把握できているとは限らないというのが現状だ。

こうしたことから同社では、親が簡単に子供のネット利用の状況を把握できるようにし、子供の安全なネット利用を促していきたい考えだ。

今回のインターネット利用診断では、「小学生設定」のフィルタリングに基づくカテゴリ分類だが、アクセスしたサイトの詳細も表示でき、幅広い年代の子供に対して適用できる。Internet Explorer (IE) のみの対応で、分析にはIEのキャッシュが保存されている必要があるが、ワンクリックで診断が行える簡単設定で、多くの保護者に使ってもらうことを期待する。

同社サイトへのアクセスからインストールまでわずか5クリックですむ簡単操作が特徴

対応OSはWindows 2000(SP4以降)/ XP(SP2以降)/ Vista、対応WebブラウザはIE6/ 7で、IE8に関しては5月以降の対応を予定している。ほかのWebブラウザには対応しないが、Firefoxに関しては検討課題としている。無料ツールのため、同社のサポート対象外となり、利用期限はダウンロードした翌月末まで、最長で2カ月間利用できる。なるべく多くの履歴を取得したうえでこのツールをインストールして診断するといいだろう。

同社では、2010年3月末までに5万ダウンロードを目標としている。同社のi-フィルターはさらに高機能なフィルタリング機能を備えており、i-フィルターの販売増にもつなげたい考えだ。