シネマコンプレックス「109シネマズ」などを運営する東急レクリエーションは6月20日より、109シネマズ川崎、菖蒲、箕面の3館内に、新しい上映システム「IMAXデジタル・プロジェクション・システム(IMAXデジタル)」を日本で初めて導入した「109シネマズ IMAXデジタルシアター」をオープンさせる。IMAXデジタル第1弾上映作品は、『トランスフォーマー/リベンジ』。

「109シネマズ」HPより

IMAXデジタルは、欧米をはじめ北京や台湾などのアジア主要都市にある一部のIMAXシアターですでに導入されており、従来の上映システムをはるかに凌ぐ興行実績を上げているという。今回、6月の日本導入に先がけ、台湾・台北市にあるIMAXシアター「台北日新威秀影城」にて、IMAXおよび東急レクリエーションの関係者にIMAXデジタルに関するさまざまな話を聞くことができた。このレポートでは、IMAXデジタルの仕組みや魅力、注目度、今後の展望などを数回に分けて探っていく。

台北駅からMRT板南線で2駅目の西門駅から徒歩10分ほどにあり、IMAXデジタルが導入されているシネコン「台北日新威秀影城」。台北市西門町は映画館などのエンタテインメントやファッション系ショップなどが集まる流行発信地で、日本でいうと東京・原宿に例えられるとのこと

同システムはカナダのIMAX社が開発した上映システムで、従来のフィルムとは違いデジタルデータの高画質映像と独自サラウンドシステムが組み合わされている。そのため、観客は今まで以上に高品位で臨場感あふれる映像コンテンツを楽しむことができるという。IMAXデジタルの魅力を一言で表すと、「卓越したプレミアム感のある劇場映画」だ。

IMAXデジタルの開発には、同社が持つIMAX DMR(digital re-mastering)という技術が大きく貢献している。IMAX DMRとは、通常の映画館向けに制作された長編映画を、IMAXのジャイアント・スクリーン用に変換する技術で、35mmフィルムを4K以上の解像度でスキャンニングし、デジタル・ブローアップ、フィルムグレインの消去、シャープネス、カラーコレクションなどのエンハンス処理を経て、70mm15Pのフィルムにレコーディングされる。この技術により、最初からIMAXフォーマットで撮影された映像と同等の鮮明さを誇り、米国のシネコンなどに併設されているIMAXシアターは常に人気が絶えないとのこと。

通常の35mm劇場とIMAXシアターとの視野の違いを示す図。詳しくは続報のレポートで取り上げる予定だ

日本で初めてIMAXデジタルを導入する興行会社となった東急レクリエーションでは、既存の1スクリーンを「109シネマズ IMAXデジタルシアター」に改装。作品によってはIMAX 3D(立体映像)の上映も予定しているという。今後、従来の3D映画方式をはるかに凌ぐその臨場感と迫力ある映像体験を楽しめるシアター空間づくりに積極的に取り組んでいく構えだ。

IMAXには、フィルム版と今回日本に上陸するIMAXデジタル版のふたつの方式が存在し、台北市内にあるもうひとつのシネコン「美麗華影城」には、IMAXシアター(フィルム版)が導入されている

IMAX 3Dによって台北で公開されている「Monsters vs. Aliens」。ドリームワークスが「Ultimate 3Dテクノロジー」を駆使して制作した作品で、米国での配給はパラマウント・ピクチャーズが担当する。右の写真はシネコン「美麗華影城」のHPより

IMAXシアター「台北日新威秀影城」では、「Monsters vs. Aliens」がIMAXデジタルで上映されていた。同作品は、ドリームワークス・アニメーションの3DアニメをIMAX 3D化し公開されているもので、50年代のモンスター映画を現代のアクション・コメディ風に仕立てた物語だ。次のレポートでは、この作品を、IMAXデジタル版と、フィルムでのIMAX版、またDolby版の3つの上映方法で鑑賞した筆者が受けた印象の違いなどについて紹介していくことにする。