特許庁は4月15日、インターネット社会における検索技術や情報機器・家電ネットワーク制御技術など6テーマについて、日本/アメリカ/ヨーロッパ/中国/韓国への出願状況を調査した「平成20年度特許出願技術動向調査」の第1弾を発表した。
それによれば、インターネットにおける検索技術の特許出願ではアメリカ勢が優位に立っている中、画像・映像や地理・地図データの解析技術の出願状況に絞ると日本勢が勝っている。
環境・エネルギー分野の太陽電池において、シリコン系太陽電池の技術開発では日本勢が優位にある一方で、次世代型の有機半導体系太陽電池では欧米が優位に立つ可能性があるという。
電気推進車両技術では日本勢が優位に立っており、今後は世界を視野に入れ、周辺技術を含め効果的な権利化により知財ポートフォリオを構築し、知的財産の有効活用が望まれるとしている。
ナノテクノロジー・材料分野におけるバイオベースポリマー関連技術では、日本勢からの出願は容器・包装資材用途が最も多い。今後は市場規模の急速な拡大が予想されることから、高機能・実用性分野への展開に向け技術の確立により多様な事業化の推進が望まれるという。
情報通信分野のうちインターネット社会における検索技術では、全体およびヨーロッパ/中国/韓国への出願件数シェアでアメリカ勢が優位な状況にあるという。検索に用いるメディアデータ解析技術に関する出願ではアメリカ勢が多いが、画像・映像や地理・地図データの解析技術では日本勢がアメリカ勢を上回る。
特許庁は同分野の今後について、画像・映像や地理・地図データの解析技術に関する技術開発の強みを活かし、メディアデータに対応する検索技術の強化を期待したいという。
ネットワーク関連POSの全体での特許出願シェアは、日本勢が最も高い。日本では独自の市場が形成されており、またPOS端末の多機能化が進んでいる現れとみられる。
情報機器・家電ネットワーク制御技術の特許出願シェアでは、全体では日本勢は最も高い。アメリカ勢/ヨーロッパ勢/韓国勢は日本へ最も多くの海外出願を行っており、日本が魅力的な市場であることがうかがえるという。情報機器・家電ネットワークのいっそうの普及が進むことを、特許庁は期待する。
特許庁は今後の特許出願について、周辺技術の特許を含む知財ポートフォリオを形成し国内外で戦略的に押さえるなど、戦略的な姿勢が極めて重要と指摘する。