半導体市場調査会社3社による半導体メーカーの売上高ランキング(半導体ランキング)が出そろった。2009年3月にIC InsightsとiSuppliが相次いでランキングを発表し、4月に入りGartnerもランキングを発表した。

市場調査会社3社による半導体売上高ランキングのまとめ。青色は順位と売上高を大きく上げた企業、赤色は順位と売上高を大きく低下させた企業

各社の半導体ランキングでいずれもトップを獲得したのは、前年に続いてIntelである。2008年の半導体売上高は330億ドルを超えており、2位のSamsung Electronicsを大きく引き離している。ただし成長率では1%弱のマイナス成長だった。半導体市場全体が5%程度のマイナス成長に終わったことに比べると、健闘していると言えるし、また、Intelでさえも売り上げを伸ばせないくらいの厳しい市況だったとも言える。

Samsung Electronicsはいずれの調査会社のデータでも2位を確保した。しかし前年比ではマイナス12~15%(調査会社によるバラつき)と苦しい。フラッシュメモリとDRAMの価格が著しく下落したため、販売が落ち込んだ。

3位と4位は東芝とTexas Instruments(TI)である。iSuppliとGartnerは東芝を3位に、IC InsightsはTIを3位に推定した。両社の差はごくわずかであり、大局的には東芝とTIが3位を分けあったという形だろう。

5位以下10位までの企業は、IC InsightsのランキングではTSMC、STMicroelectronics、ルネサス テクノロジ、Qualcomm、ソニー、Hynix Semiconductorと続く。iSuppliのランキングは半導体製造請け負い(ファウンドリ)のTSMCをカウントせず、STMicroelectronics、ルネサス テクノロジ、ソニー、Qualcomm、Hynix Semiconductor、Infineon Technologiesの順番となる。Gartnerのランキングには理由は不明だが、ソニーが見当たらない。5位以下10位まではSTMicroelectronics、Infineon Technologies(Qimondaを含む)、ルネサス テクノロジ、Qualcomm、Hynix Semiconductor、NECエレクトロニクスと並んだ。

IC Insightsによるランキングの詳細

iSuppliによるランキングの詳細

Gartnerによるランキングの詳細

なお、2008年の半導体市場規模はiSuppliによると前年比5.2%減の2,583億ドル、Gartnerによると同5.4%減の2,550億ドルである。

少ないながらも成長を果たした企業も

2007年のランキングと2008年のランキングを比べると、数は少ないながらも好調だった企業が存在する。

まず目立つのがQualcommの躍進だ。売上高を前年比15%増と大きく伸ばして順位をアップさせた。IC InsightおよびiSuppliの調査では、2007年の13位から2008年は8位に上昇している。QualcommはCDMA方式の第3世代携帯電話用半導体で基本技術を有しており、第3世代携帯電話システムが世界各地域で普及しつつあることが売上高を大きく拡大させた。なおQualcommの売上高数値は3社の調査結果が一致しており、Qualcommが情報を一元化していることが分かる。またBroadcomが売上高を前年に比べて2割強と急拡大させているのが注目される。携帯電話機用ベースバンド用半導体と無線ネットワーク用半導体を得意とするベンダだ。

一方、2008年の売上高が前年を割り込んだ企業は数多い。なかでも悲惨だったのがDRAMベンダだ。DRAM大手のHynix Semiconductorは売上高を前年に比べて3割強も減少させた。前述のようにSamsungもふるわない。また民生用半導体大手のNXP Semiconducutorsがモバイル向け半導体の不調などで売上高を大きく減少させ、順位を落とした。