グーグルは13日、定例記者会見を開き、今年1月1日に新社長に就任した辻野晃一郎氏が今後の事業方針について説明した。Google AdWordsやバナー広告、YouTubeなど今後注力していく分野について話し、「グーグルは引き続き、日本におけるネット広告のリーダーの一角を担う立場で、ビジネスモデルの進化をアグレッシブに進めていきたい」と抱負を述べた。

今後注力していく分野について話すグーグルの辻野晃一郎社長

辻野氏は記者会見の冒頭、「中国、インドなどで景気回復の兆しが見られているが、依然として厳しい状況にあり、今年の広告マーケットの推移は不透明」との現在の経済情勢に関する認識を示した。その上で、「広告の面ではまずユーザー・エクスペリエンスを第一とし、Webサイトのオーナー、広告主も含めたWin-Win-Winの関係を作っていきたい」とし、今後同社がフォーカスしていく5つの重点分野について述べた。

第一の重点分野は、「Google AdWordsそのもの」(辻野氏)。「特に日本は広告マーケットのポテンシャルはまだまだ大きい」とし、「プロダクツそのものを進化させ、キーワードマネジメントとキャンペーンマネジメントの双方を改良し、広告主がより使いやすいものにしていく」と述べた。第二の重点項目は、「バナー広告・ディスプレイ広告のポートフォリオをグローバルに充実させること」(同)。第三は「YouTube」とし、「広告主にとっても魅力的な動画プラットフォームとして位置づけていきたい」と述べた。

辻野氏はさらに、第四の重点分野として、「特に日本が強いモバイル広告の分野」を挙げ、「携帯電話の世界での出荷台数は40億台、PCは10億台で、モバイルはPCの4倍のポテンシャルがあるマーケット」と指摘。「あらためてモバイル広告にフォーカスしていきたい」と意欲を見せた。第五の重点分野として辻野氏が挙げたのが、「地域情報をベースにした広告展開」。「地域広告のニーズは大きく、地図(Googleマップ)と連携し、地域情報に根ざした広告展開をしていきたい」と述べた。

辻野氏は最後に、「AdWordsの中身を一新し、日本でも広告マーケットを活性化させるために頑張りたい」と抱負を述べた。

会見後の質疑応答では、「(AP通信など)米国のメディアで、ニュース・コンテンツのアグリゲーション(複数のWebサイトからの情報収集)などに批判が出ているが、新聞社や出版社などのコンテンツ・ホルダーと(利益を)シェアするべきではないか」との質問が出た。これに対し辻野氏は、「その考えに賛成」とし、「新聞社にとって有益になることは取り組んでいきたい」と述べ、具体的には個別の新聞社と個々に議論していることを明らかにした。

Googleの携帯電話向けOS「Android」の日本語対応・日本対応に関する質問には、「順調に進んでいる」と進捗状況について説明し、「2009年の前半など、年内のできるだけ早い段階でリリースしたい」と述べた。

定例会見ではこの後、辻野氏が第一の重点分野に挙げたGoogle AdWordsのユーザー・インタフェースの改良点について、タブなどの活用により掲載広告の管理がしやすくなったことが担当者から説明された。

辻野社長の会見後、Google AdWordsのユーザー・インタフェースの改良点について説明があった