宇宙航空研究開発機構(JAXA)は4月8日、2007年9月14日10時31分01秒(日本時間)、H-IIAロケット13号機により、種子島宇宙センターから打上げた月周回衛星「かぐや(SELENE:SELenological and ENgineering Explorer)」の後期運用を明らかにした。
"かぐや"の運用状況は、2008年12月末でGRS(ガンマ線分光計)の定常観測期間中の欠測期間を補完するための運用が終了し、これによりフル成功基準を達成したとしている。
2月1日からは高度50kmで月磁場、プラズマ環境の3次元分布の観測をほぼ2カ月実施、4月以降は近月点が30km以下での月の裏側のミニ磁気圏領域(南極エイトケン盆地)に対する追加観測を実施する計画のほか、LRS(月レーダーサウンダー)が2月19日より自然電波観測モードによる観測を再開しているという。
今後は、安定運用を実現するために、スラスタ姿勢制御運用とし、リアクションホイール姿勢制御運用は特別な必要性が生じない限り実施しないとのことで、このまま行けば、観測を終えたかぐやは6月10日頃に月の表側(日陰)に制御落下を実施することが予定されている。
これについてJAXAでは、制御落下実施以前の軌道において、月の裏側(日照)の詳細なHDTV、地形カメラなどの撮影を実施予定としているほか、必要な情報を提供し、天文台での落下の観測を呼びかけるという。
また、JAXAでは7月頃には"かぐや"のラストイベント(パブリックイベント)を検討しているほか、政府の宇宙開発委員会計画部会では、今後10年以内の打ち上げを目標に、"かぐや"の後継機を検討しており、月面に軟着陸し、探査車による調査などを実施する計画。