IDC Japanは4月7日、国内仮想テープライブラリ(VTL)の需要動向調査結果を初めて発表した。同発表によると、2008年の国内VTL売上額は81億7,300万円の見込みであるという。今回発表された市場規模は、VTLハードウェアサプライヤーが自社ブランドで国内販売した実績を基に算出したもの。
VTLとは、仮想化ソフトウェア、HDD、サーバエンジンを用いて、サーバOSやバックアップソフトウェアに対してテープストレージをエミュレートするディスクベースのストレージ製品。ディスクにはテープフォーマットで書き込むよう設計されているが、物理テープへのデータ移動が可能かどうかは製品によって異なる。
2008年の国内VTL売上額は、同年のテープストレージ売上額(テープドライブとテープオートメーションの合計)と比較すると、その2割にも満たない市場規模だ。また、ホストシステム別に見ると、メインフレーム向けVTLが8割弱を占めており、世界市場ではVTL売上額の7割近くをオープンシステム向けが占めるのとは異なる状況にある。
同社では、国内市場でもディスクベースのバックアップはさらに普及すると見ている。また、より効率的なバックアップ運用や、災害対策や内部統制の強化を目的に、バックアップ統合も徐々に増加すると予測され、これらはVTLにとっても需要拡大の追い風になると考えられるとのこと。
オープンシステム向けVTLが国内バックアップ市場で一定の地位を確立するには、供給サイドと需要サイドの両方に存在する課題解決を早急に行い、市場の素地を整えることが前提条件となるという。