米IBMが現在交渉を進めている米Sun Microsystemsの買収計画について、赤信号が灯り始めている。経済紙の米Wall Street Journal(オンライン版)は4月5日(現地時間)、Sunの経営陣らが「IBMの提示する買収金額が低い」との理由で同日付けで提案を断ったと、同件に近い筋の話として紹介している。
WSJは先週末、政府等の監督機関による横やりが入ったとしても買収交渉を継続することを条件に、SunがIBMの買収価格引き下げ提案を受け入れたと報じている。これは当初Sun株1つあたり10 - 11ドルのレンジだった買収金額を9 - 10ドルの価格帯にまで落とすというもので、Sunの経営陣は9ドル40セント以下の水準での買収は受け入れられないと考えていたようだ。また今回の買収はIBM側に非常に有利な条件でもあり、SunではIBM側の選択権が非常に強く、買収からの撤退など交渉のコントロール権を握られている点も不満だったようだ。SunではすでにIBMに対して独占交渉を打ち切る旨の意思表示を行っており、事実上交渉は終了したものと考えられる。
今後のSunの行方については不透明だ。以前のレポートのように、同社はIBMとの交渉以前に複数の業界ライバルらとの交渉を進めているが、ここであえてIBMを選んだ理由は条件面で有利だったからであり、他社との交渉再開でIBM以上の条件を引き出せる可能性は低いとみられる。とはいえSun側が交渉を急いでいたことからも時間的リミットはあまりないと思われ、今後しばらくは苦しい状態が続きそうだ。