米Riverbed Technologyの日本法人、リバーベッドテクノロジーは、新社長に、フォーティネットジャパン前社長などを務めた岡本吉光氏が就任したと発表するとともに、国内市場での基本戦略を示した。同社は、WAN高速化装置製品や、そのOSなどを取り扱っており、欧米、アジア太平洋地域など世界40カ国で販売を展開している。
同社の製品は、アプリケーションの高速化、サーバ/ネットワークの統合、帯域の最適化、災害からの復旧などを担う。岡本社長は「経済環境が厳しく、企業がIT投資に割く予算は限られているが、最近では、グリーンIT、仮想化など、多くの施策を要求されている。Riverbedのソリューションは、効率性を改善でき、これらの需要に対処していくことが可能だ」と指摘、サーバの集約、統合により「WANを最適化でき、LAN環境に近いパフォーマンスを実現できる」と話す。
現在の市場を概観すると「グローバル化の進展により、マルチナショナル化が広がっている。遠隔拠点が増加しているほか、コスト効率化を向上させるため、拠点間のコラボレーションが必要になり、WANの高速化がいっそう求められることになり、当社にとってはチャンスが増える。市場はまだまだ伸びる」(岡本社長)と同社ではみている。また、国内でのブロードバンド環境の普及により、Web2.0関連、ビデオ会議システムなどのような、より高速大容量のアプリケーションが増加していることも追い風になるという。
今後、国内市場では、市場分野をより細分化し、業務、業種など、それぞれの状況ごとに最適なソリューションを開発していくとともに、パートナーとの協業をさらに強化、特に、数10社ほどある2次代理店への支援を重点化する。
また「マーケットカバレッジの増大を図りたい。地方でのエンドユーザーこそ、WANによるアプリケーションの遅さを感じているのではないか」(同)との状況があり、地方でのセミナー開催などにさらに注力する方針だ。岡本社長は「パートナーとの協力関係を強め、日本市場の顧客の要求をより確実に把握し、米国にフィードバックしていきたい」と話す。
このような基本戦略の下、同社は、高付加価値ネットワーク、グローバルに活動している企業の基幹ネットワークや、官公庁、大学、研究機関、医療といった分野に焦点を絞っていく意向だ。同社は「公共部門に対しては、まだ接点が不十分」(同)としており、大きな重点項目となる。さらには、中堅・中小企業の開拓の視野に入れている。「中堅・中小企業向けでは、パートナーが最も重要になる。強力なパートナーを獲得したい」(同)考えだ。 就任1年目の見通しについて、岡本社長は「WAN高速化の分野は、市場の潜在力があり、最低でも(売上げを)50%は伸ばしたい。日本市場では、ビジネスの立ち上がりがスローだったかもしれないが、日本は米国に次いで、世界第2位の規模をもつ市場であり、WANやアプリケーションの高速化にニーズはある」と述べた。
岡本社長は1971年に早稲田大学理工学部を卒業、同年、日本IBMに入社、87年に日本サン・マイクロシステムズ(現サン・マイクロシステムズ)に移籍、営業本部長などを歴任、92年にはシスコシステムズジャパンに移り、取締役などを務め、その後、アカデミーキャピタルインベストメンツの取締役などを経て、2005年にセキュリティシステムを手がけるフォーティネットジャパン社長に就任している。