米Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは3月31日、興味のあるゲノム領域のみを次世代シーケンシング装置を用いて解析することで、解析効率の向上を可能とするターゲットDNA濃縮キット「Agilent SureSelect Target Enrichment System(シュアセレクト・ターゲット・エンリッチメント・システム)」を発表した。4月1日より販売を開始、参考価格は10試料分で132万3,000円からで、同5月からの出荷を予定している。

ターゲットDNA濃縮キット「Agilent SureSelect Target Enrichment System」

同キットは、提供開始時点ではIlluminaの「Genome Analyzer システム」に対応するほか、将来的にはLife Technologiesの「SOLiD システム」にも最適化した製品の提供も予定されている。

Target Enrichment技術は研究者がゲノムの特定領域の塩基配列(翻訳領域など)のみに関心がある場合に有用な技術として知られ、「targeted resequencing」「genome partitioning」「DNA capture」などとも呼ばれている。同技術を実施する際に、同キットを用いることで、特定のエクソン領域や解析しようとするゲノムの特定領域を高効率に捕捉し、シーケンシングに先立ちその他の不要なゲノム領域を洗い流してしまうことができる。

また、実験に使用するゲノムDNAの量は従来のオンアレイやPCRを用いる方法と比べ、約1/10に減らすことが可能という結果も出ているという。

最初に発売する製品は、ユーザ希望の領域に応じて製作し、ビオチン化したRNAプローブ(最大5万5,000種類)を1本のチューブに入れ、そのまま使用可能としたキット。キャプチャ用のプローブは120塩基の長さであり、一塩基多型、挿入や欠出など、事前に予測のできない変異を含んでいるDNAでも効率良くキャプチャすることが可能だ。

さらに、同社のカスタムマイクロアレイ設計ツール「eArray」を用いてユーザ自身で希望の領域を対象としたSureSelectプローブを設計することも可能。

なお、同社では、今年末に、より小規模な実験用としてマイクロアレイを直接用いるタイプの製品を市場投入する計画としており、Target Enrichmentを行うすべての研究者に大規模(試料数:数百個)から小規模(試料数:数個)にまで対応できる包括的な製品群を提供する予定としている。