日本ヒューレット・パッカードは3月26日、同社の無停止サーバラインナップのエントリモデルとして「HP Integrity NonStop NS2000」を発表した。CPUにIntel Itaniumデュアルコアを採用し、コストパフォーマンスを大きく向上させた点が特徴。メインフレームや既存のMIPS搭載NSモデルで行われてきたミッションクリティカルな業務をNS2000に移行させることが大きな狙いだ。「UNIXクラスタ環境と同程度の価格で、メインフレーム並みの信頼性を実現したソリューション。NonStopサーバはCompaqと合併する前から手に入れたいと思っていたアーキテクチャであり、今後も当社はNonStopサーバへの投資を続けていく」(日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 松本芳武氏)
デュアルコアのIntel Itaniumプロセッサ 9120N(1.4GHz)を採用し、2基もしくは4基に設計を限定したことで大幅なコストダウンを実現、「戦略的な価格を設定することができた」(松本氏)という。メモリは8 - 16GB、内蔵ストレージは73GB/146GB/300GBのSASドライブを搭載でき、最大60TBまで可能。また、I/Oに「VIO」という小型のI/Oユニットを採用したことも、コストダウンの一因となっている。価格は最小構成で2,168万1,660円、出荷予定は3月30日。
NonStopサーバは文字通り"止まらない"ことが絶対条件のサーバ。決済システムや証券取引などミッションクリティカルな業務やディザスタリカバリに適しており、「総務省が推進するEDI(Electronic Data Interchange)による企業間受発注システムでの導入も視野に入れている」(同社 エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 NonStopサーバ事業部長 浅野勉氏)という。海外では病院、警察、防衛などでの採用が多い製品ファミリだ。今回のエントリモデル投下は、比較的小さな規模でも可用性の高い無停止環境を望む顧客のニーズに応えた形だ。
「NonStopサーバは顧客からの関心が非常に高いソリューション。他社にはない堅牢性が評価されているからだと思っている」(浅野氏)と同社は自信を見せるが、NS2000でもその堅牢性はそのまま保たれている。仮にプライマリとして稼働中のCPUがダウンしても、もうひとつのCPUがすかさず稼働するため、いわゆる「フェイルオーバー」という事態に陥ることなく、事業を継続することが可能だ。「UNIXクラスタでは、数分から数十分のシステム停止が余儀なくされるところだが、NonStopサーバは、ごく数秒間スループットの低下が見られるだけで、事業継続になんら支障はない。我々はこれをフェイルオーバーではなく"テイクオーバー"と呼んでいる」(日本HP ESSプリセールス統括本部 BCSソリューション本部 NonStop技術部 平野智子氏)
日本HPは年初から立て続けにサーバ関連製品の価格改定を行ってきた。「きびしい経済状況の中、企業のITを構成する各コンポーネントの価格を見えやすくすることで、IT投資を透明化し、より効率の高いIT環境を日本の顧客に届けたい。顧客のITコストを劇的に下げることが我々の目標」とサーバ事業を統括する松本氏は言う。今回発表されたNonStopサーバのエントリモデルもその戦略に沿ってリリースされた製品だ。今後はNonStopサーバ上で動作するツールなどにも力を入れていくという。