米Dell 会長兼CEO マイケル・デル氏

3月24日、米Dellの会長兼CEOであるマイケル・デル氏が都内で開かれた記者懇親会に出席し、同社の取り組みについて語るとともに、記者からの質問に回答した。

デル氏は、同社が攻めるべき課題として「複雑さ」と「コスト」を掲げていると説明した。「複雑さを解消するには、標準化が重要。例えば、ベンダー独自の規格に従ったプラットフォームでは俊敏性を確保することができない。経済が不確定な今こそ、ITの確実性を確保する必要がある」

コストについては、IBMがリードしていたサーバ市場に同社がx86サーバを投入したことで、サーバの低コスト化と台数の増加が進み、インターネット時代の拡張に貢献したと説明した。

また、記者からの「この不況下で製品を販売するために、デルはどのような策を講じているのか」という質問に対しては、「メーカーとして、顧客に新しい製品を買ってもらうために、妥当な理由を説明する責任がある」と答えた。

「新しい製品を市場に出すからには、旧製品に対して差別化を図らなければならない。それを実現する要素としては、Windows 7やタッチスクリーンの搭載、ノートPCの薄さや軽さなどがある。こうした機能を蓄積して、製品に反映していく必要がある」

「IBMがサンを買収するという噂についてはどう思うか」との問いには、正確な話は知らないとした上で、「近年、当社が手がけるLinuxやSolarisのマイグレーションは増えている。そうしたなか、今回の買収騒動によってサンの顧客は緊張感が増して、買収より前にマイグレーションが加速するのではないか。そうなれば、当社にとってビジネスチャンスとなる」との見方を示した。

加えてデル氏は、「クラウド」「ネットブック」といった、トレンドのITについても見解を述べた。

「クラウドはコンシューマー向けのサービスから、企業向けのサービスとして展開されつつある。デルはクラウドコンピューティングを構築しているベンダーに対して、サーバやストレージなどのインフラを提供しているという立場。YahooやGoogleはわれわれの顧客だ。クラウドに向けたサービスを強化するために、事業部を設立した」

ネットブックについては、「これからも成長が期待できる製品分野。ネットブックによってインターネットへの接続性が拡大すれば、オンラインサービスの増加もするだろう。ただし、スクリーンが小さい点には注意が必要。というのも、情報量が限られるから」と、ネットブックの可能性に賛同しつつも、欠点についても言及。そのため、同社としては、10インチのネットブックの販売を考えており、キャリアとの協力の下、開発を進めていくという。

デルは自社のコスト削減も積極的に行っており、その順調さから、目標値を当初の30億ドルから40億ドルに上げている。デル氏は、コスト削減が成功している要因として、「レガシー構造からの脱却」「オペレーションの統合」「ライセンスコストの見直し」を挙げ、削減できたコストは、顧客に還元していきたいと述べた。