NTTぷららは23日、同社の映像配信サービス「ひかりTV」開始1周年の記者会見を行った。記者会見では、2009年3月11日付で累計50万契約を突破したことや、2009年度中にBSデジタル放送のIP再送信を開始する予定であることなどを発表。さらに、同社代表取締役社長の板東浩二氏は「2009年度中にひかりTVを黒字化したい」と新年度への抱負を述べた。
NTTぷららは2008年3月1日、同社の前身であるぷららネットワークスが展開する映像配信サービス「4thMEDIA」と、NTTコミュニケーションズの「OCNシアター」、オン・デマンド・ティービーの「オンデマンドTV」の3つの映像配信サービスを統合し、2008年3月1日から社名を「NTTぷらら」に変更。
同年3月31日、これらのサービスを統合し「ひかりTV」のサービスを開始した。
ひかりTVでは、多チャンネル放送を展開する放送系サービスと、映画などのコンテンツをビデオ・オン・デマンド(VOD)方式で提供するVOD事業の2本柱で構成。放送系サービスではさらに、2008年5月から東京と大阪で地上デジタル放送のIP再送信を開始。2009年3月24日からは、神奈川県と愛知県でも地デジのIP再送信を開始する。
2008年3月のひかりTVサービス開始以来、同年8月までは累計契約数が伸び悩んだが、同年9月以降は順調に伸び、2009年3月11日付で50万件を突破。2009年3月末までに52万件の契約数を見込んでいる。
NTTぷらら社長の板東氏は、記者会見で「テレビでVODを見るという習慣がまだ根付いていない中、いかに開拓していくかが課題だった。だが、固定料金で見放題にするというプランを提供することで、順調に契約数を拡大することができた」と2008年度(2008年4月~2009年3月)のひかりTVの実績を総括。
さらに、ユーザーアンケートの結果について言及し、「ひかりTVの顧客のうち、以前ケーブルテレビに入っていなかった顧客は75%、CS放送を利用していなかった顧客は80%。一般に思われているようなケーブル、CSとの競合は少なく、ひかりTVが若年層など新しい市場を開拓していることも分かった」と強調。
「ひかりTVの損益分岐点となる契約数は90万件だが、2010年3月末までには110万契約を達成し、コンテンツプロバイダーやSTB(セット・トップ・ボックス)メーカー、ヘルプデスク担当企業などとWin-Winの関係を構築していきたい」とひかりTVの収益化への見通しを述べた。
また板東氏は、「コンテンツプロバイダーとの関係においては、共同制作などを通じて投資を拡大していく」と表明。同社はすでに『ロックの学園』や『妖獣マメシバ』などの共同制作番組を制作しているが、今後もこうした番組の制作を拡大していく方針であると述べた。
そのほか記者会見では、2009年度中にBSデジタル放送のIP再送信を行うことを検討していることや、携帯キャリアとの連携、東芝やNECなどと共同でひかりTVの受信機能を内蔵した「AVPC」を開発していることなども明らかにされた。
板東氏は最後に、「NTTぷららのミッションは、ブロードバンドインフラの構築と、構築したインフラ上でのサービス提供拡大にある。2009年度中には、ひかりTVの黒字化を実現したい」と述べた。
会見後行われた質疑応答では、2008年12月にサービスが開始されたNHKオンデマンドの影響に関する質問が相次いだ。
板東氏はNHKオンデマンドについて、「これまでの当社のサービスでは、映画やアニメ、任侠物などの邦画が充実していたが、NHKオンデマンドでは、これまでにないような紀行や文化、教養、大河ドラマなどがあり、補完関係にある」と説明。
契約数の伸び悩みが指摘されていることについては、「サービス開始以来まだ4カ月目で、結論を出すにはまだ早い。NHKのほうでもログを分析するなどして、今後どういう方針でいくのか考えるのではないか」と話していた。