NECは、同社がITベンダ10社とともに、2007年12月から取り組んでいる「NGNミドルウェアパートナープログラム」に、新たにアプリケーションパートナーとして5社を加え、NGNを活用した新たなサービスの創出に注力していくことを発表した。

既存パートナー11社と新パートナー5社

今回新たにパートナーに加わるのは、アンリツネットワークス、エンピレックス、シスコシステムズ、ジェネシス・ジャパン、昭文社の5社。これらの5社は、NGNの普及に向けて、各社の強みのある領域を中心に活動していく。具体的は、下図の通り。

新規パートナーの活動領域

「NGNミドルウェアパートナープログラム」では、これまでパートナー総会や検討会を通じてNGNの基本機能であるセッション/QoS制御を利用したサービスの共創と、NGNミドルウェア共通APIの標準化を中心に活動を行ってきた。

サービス面では、パートナー各社は自社に強みのある領域を中心に、ソリューションモデルを策定し、NEC本社内に設けられた評価センターを利用して検証を進めている。

NGNを活用したサービスの共創状況

記者会見では具体的なサービスとして、日本HPの映像対応コンタクトセンターや在宅医療支援サービス、日本IBMのLotus SametimeとIP電話連携、NECの遠隔医療相談が紹介された。

日本HPは音声・映像系のサービス基盤(PaaS:Platform as a Service)として提供することを考えている

PaaSを利用したサービスの一例(在宅医療支援)

Lotus Sametimeのアドレス帳を利用して、iPhoneで電話する日本IBMのデモ

NECが検討する検診データを利用しながらの在宅医療サービス

NEC 次世代ネットワークサービスセンター センター長の三栖利之氏

NGNのサービスについては、思ったほど進展していないように思えるが NEC 執行役員 岡田高行氏はこの点について「当初の予定よりは遅れ気味だが、現在サービスについてはいくつかトライアルをしており、確実に進捗している。サービスをどれだけ創出できるかが大きなポイントになる」と述べた。

また、NEC 次世代ネットワークサービスセンター センター長の三栖利之氏は、「NTTが今年サービスインを予定しているQoS付きオンデマンドのサービスが出てくれば、企業内サービスとして浸透していくのではないか」と語った。

NEC 取締役執行役員常務 大谷進氏

NEC 取締役執行役員常務 大谷進氏は「キャリア、エンドユーザー、サービスプロバイダが手を携えてグローバル化を推進していく。NGNはオープン性が最大の特徴だが、ビジネスのサービス基盤に飛躍することを期待している」と述べた。

一方、共通APIに関しては、通信サービス向けAPIの共通仕様であるParlay X 3.0をNGNや企業ネットワーク向けに機能拡張したNGNミドルウェア共通API仕様第1版を昨年9月に策定。策定したAPI仕様の一部である課金APIは、本年2月に行われた国際標準化団体OMAのPSA(Parlay Service Access)アドホックグループに対する修正仕様案として提案を行ったという。また、課金以外の拡張仕様は、国際標準とするべく、OMA内で別途新規のアドホックグループを立ち上げるよう「Next Generation Service Interface(NGSI)」の構想提案を行い、今後、NGN特有の機能を活用するAPI(認証、ID管理、QoS、高度マルチメディア制御等)、企業ネットワーク活用API(サービス履歴、基幹データ連携、ポリシー制御等)、シームレスネットワーク、クラウド対応等、の3つの領域での仕様策定活動を行っていくという。

Next Generation Service Interface(NGSI)構想