日本IBMは3月19日、高エネルギー加速器研究機構(以下、KEK)の共通情報システムが3月に本格稼働し、膨大な素粒子や宇宙の研究データ解析を実現するとともに、国内外の研究者を支援する情報インフラが大幅に強化されたと発表した。共通情報システムは、世界中で連携した大規模なデータ・グリッド・システムによって構築されている

同システムは、同社のサーバ「System p520」「System x3650」、GPFS(General Parallel File System)サーバが採用されている。

KEKは、粒子加速器を研究手段に用いて、宇宙、素粒子、原子核、物質、生命などの謎を解き明かす加速器科学を推進し、国内外の研究者に対して研究の場を提供している。共通情報システムの大容量データ解析は、大強度陽子加速器施設(J-PARC)から収集されるデータの解析が主な用途となる。

加速器を用いて素粒子物理の実験を行う高エネルギー物理学の分野では、装置が巨大になってしまうため、国際的に共同して実験装置を建設し、協調しながら大容量データを解析することが進められている。

同システムでは、CERN(欧州原子核研究機構)が中心となって整備しているグリッド環境の基礎技術「EGEE(Enabling Grid foe E-scienceE) gLite」と、米国エネルギー省の研究所とIBMが共同開発した階層型ストレージ管理ソフトウェア「HPSS(High Performance Storage System)」の連携が行われている。