Analog Devicesのパワーマネジメント製品部門でバイス・プレジデントを務めるピーター・ヘンリー氏

米国のアナログ半導体ベンダAnalog Devices(ADI)の日本法人であるアナログ・デバイセズは3月18日に東京で記者会見を開催し、同社のパワーマネジメント半導体の事業展開と製品例を報道関係者向けに解説した。ADIのパワーマネジメント製品(Power Management Products)部門でバイス・プレジデントを務めるピーター・ヘンリー(Peter Henry)氏が説明にあたった。

Analog Devicesの売上高は2008年度(2007年11月~2008年10月)で約26億ドル。製品別では売上高の46%をコンバータIC(A/D変換器ICおよびD/A変換器IC)が占める。次いでアンプICが23%となっている。パワーマネジメントICおよびリファレンス(基準電圧源)ICが売上高に占める割合は、6%と少ない。

製品別の売上高構成。「コンバータICと高性能アンプICは市場シェアでトップを占める」というが、パワーマネジメントICは今のところ「12位」(ヘンリー氏)とする

ヘンリー氏は2006年3月にAnalog Devicesに入社し、パワーマネジメント製品の製品戦略の転換を進めてきた。2006年当時はIntelプロセッサ用パワーマネジメントICを主力製品としており、Analog DevicesのコンバータIC製品やアンプIC製品などとの関連があまりなかった。これを、Analog Devicesの製品群と関連の高いパワーマネジメント製品へと切り換えてきた。現在は開発体制の建て直しが完了し、新製品を相次いで開発できる状態になったところだという。

パワーマネジメント製品部門が抱えるエンジニアの数は数百名。2008年には22種類の新製品ファミリを開発した。2009年には35種類を超える新製品ファミリを開発するとしており、2010年には、2009年の2倍超の新製品ファミリを出荷する計画である。

Analog Devicesのパワーマネジメント製品。交流直流変換の制御IC、ホットスワップ(活線挿抜)制御IC、スイッチングレギュレータIC、シーケンサIC、モニタIC、LDO(low drop-out) IC、リセットICなどがある

交流電源を直流に変化し、ボードに配電するアーキテクチャにおけるAnalog Devicesのパワーマネジメント製品。(同社Webサイトから抜粋)

注力する応用分野としては、産業・計測機器、通信インフラストラクチャ、ポータブル機器、ディスプレイの4つを挙げた。またパワーマネジメント製品の例をいくつか紹介していた。

低雑音スイッチングレギュレータICを電源に使ったときのA/D変換器ICの特性。左側がリニアレギュレータ、右側が開発したスイッチングレギュレータを使用したときの特性(SNRFSとSFDR)。従来のスイッチングレギュレータICは雑音が大きく、A/D変換器ICの特性を劣化させていた。開発したスイッチングレギュレータでは雑音が小さく、A/D変換器ICの特性が劣化していない

ポータブル機器向けのパワーマネジメント製品の例