計測機器ベンダAgilent Technoliogiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは3月9日、DDR2/DDR3メモリシステムの統合解析環境「DDRアナライザ」の販売を同日に始めたと発表した。DDR2/DDR3 SDRAMを搭載した開発ボードや試作ボードなどを動かして、デバッグや検証などの作業を容易に実行できる環境である。
DDRアナライザは、モジュール形式のロジック・アナライザ、DDR2/DDR3の単体メモリ用BGAプローブ、DDR3のデュアルインラインメモリモジュール(DIMM)用スロット・インタポーザ、DDR2/DDR3メモリ用解析ツールなどで構成される。メモリを単体で実装するシステムの場合はBGAプローブを、DIMMスロットで実装するシステムの場合はスロット・インタポーザを使うことになる。
モジュール形式のロジック・アナライザは、本体にケーブル付きボード・モジュール(ロジック・アナライザ・モジュール)を挿入して解析を実行するロジック・アナライザである。モジュールのハードウェア性能が、解析速度を決める。今回はDDR3メモリの解析用に、ステート解析速度が最大2GT/sでトリガ・シーケンス速度が最大2GHzの高速ロジック・アナライザ・モジュール「16962A」を開発した。DDR3-1600のデータ・バースト信号をリアルタイムで解析できる。価格は477万5,479円(税込み)から。
DDR3-1600に対応したロジック・アナライザ・モジュール「16962A」の外観。チャネル数は68チャネル。タイミング解析速度は2GHz(全チャネル)、4GHz(ハーフチャネル)、8GHz(4分の1チャネル)。メモリは標準4Mサンプル、最大100Mサンプル。サンプリングのタイミングをクロック同期で5psずつ動かせるソフトウェア「DDR Eye Finder」が無償で提供される |
DDR2/DDR3の単体メモリ用BGAプローブは、プリント基板にBGA封止のDDR2/DDR3 SDRAMを直接はんだ付けしたときにロジック・アナライザおよびオシロスコープによるプロービングを容易にする部品である。アジレントは従来からDDR2 SDRAM用BGAプローブを供給してきたが、今回新たにDDR3用のBGAプローブ「W3630Aシリーズ」を開発した。×16ビットSDRAM用の「W3631A」と×4/×8ビットSDRAM用の「W3633A」がある。価格は8万8,507円(税込み)から。
DDR3のDIMM用スロット・インタポーザは、DIMMスロットとDIMM本体の間に挿入し、ロジック・アナライザのプローブと接続する部品である。DDR2のDIMM用では、アジレントはサードパーティのスロット・インタポーザを紹介してきたが、今回、DDR3-1600に対応したスロット・インタポーザ「N4835A」を新たに開発した。価格は489万9,796円(税込み)から。
DDR2/DDR3メモリ用解析ツールは、モジュール形式のロジック・アナライザにインストールして使う。今回、プロトコル解析やパフォーマンス解析、トリガ生成などの機能を備えた「B4622A」を開発した。価格は66万503円(税込み)から。
なお、同社は製品発表に合わせ、実際のシステムによるデモンストレーションを記者に披露。FPGAの開発ボードを例に「DDRアナライザ」のセットアップを示すとともに、解析ツール「B4622A」を動かしてみせてくれた。