マイクロソフトとターボリナックスが、2007年10月に結んだ包括提携による最大の成果がいよいよ形になろうとしている。WindowsとLinuxの混在環境において、1つの証明書でログインできるシングルサインオンソリューションが、3月11日に正式発表されるのだ。
それに先駆け、マイクロソフトの最高技術責任者(CTO)である加治佐俊一業務執行役員と、ターボリナックスの矢野広一社長が緊急対談を行った。この包括提携の成果は、両社、ユーザー、そして業界にどんなインパクトを及ぼすのか。2人に存分に語ってもらった。
--まず、今回のシングルサインオン(SSO)ソリューションの意義について、どう捉えているかをお聞かせください。
矢野 2007年10月に結んだ包括提携では、「相互運用性の向上」、「研究開発分野における連携」、「知的財産の保証」、「デスクトップ分野における協調の拡大」の4項目についての協業があります。今回のSSOソリューションは、相互運用性の向上という観点における協業であり、同時に包括提携においては最大の成果だといえます。
いまや、サーバ環境においては、WindowsとLinuxの混在環境がかなり定着している。混在環境のニーズが高まるなかで、相互運用性を実現する今回のソリューションは大きな意味があります。当社の立場から見れば、Windowsか、Linuxかという競合のなかでの提案しかできなかったものが、Windowsの環境においてもビジネスチャンスが広がるきっかけとなる。
また、Linuxという市場においても、当社の存在感を高めることができるソリューションだといえます。当社にとって、このシングルサインオンツールは、「大砲」とも位置づけられるソリューションです。今回のSSOソリューションは、Active Directoryの管理下において、SSOを実現するものであり、国内で出荷される年間約40万台のx86系のサーバのなかで、Active Directoryの管理下において、SSOが求められるケースはそれほど多くはない。ただ、混在環境においては、必須ともいえるツールにはなりうる。このツールに対するユーザーの期待感を強く感じています。そして、今回の包括提携の延長線上として、ターボリナックス以外のLinuxディストリビューションについても、SSO対応できるツールを発表します。これも、業界にとっては大きなインパクトがあるものだと考えています。
加治佐 マイクロソフトではここ数年、相互運用性の実現に力を注ぎ、実際に、いくつかの成果が出ていますが、今回のSSOソリューションは、その成功事例のひとつだといえます。ユーザーはWindowsとLinuxの混在環境のなかで、管理に大変な苦労をしている。これを和らげることができる。
一方、マイクロソフトにとっては、混在環境での管理という、ADの新たな価値を理解してもらえる。日本では、まだまだADを普及させていかなくてはならない。そのきっかけになるものと期待しています。さらに、混在環境において、SQL ServerやSharePoint Serverなどのマイクロソフトの数々のサーバーソリューションを、シームレスに導入、運用してもらえることになる。当社のアプリケーションを導入していただくというビジネスオプチュニティがあるだろうと考えています。