Dow Jones Industrial Average――米国の経済指標として代表的な「ダウ工業平均株価指数」の構成銘柄の今後が話題になっている。
3月9日(米国時間)時点での指数が6547.05と7000ドル台の大台を割っている状態だが、このうち指数を大幅に引き下げる要因となった自動車業界と金融業界の2つの銘柄の代わりに、より元気なIT企業であるGoogleとCisco Systemsを加えるのではないか、という憶測が流れている。
ダウ指数(DJIA)は経済紙Wall Street Journalの発行で知られる米Dow Jones & Co.によって策定された株価指標で19世紀末にスタートした。現在の形になったのは1907年で、米国を代表する企業のうち30銘柄を選定し、独自の計算式で指標を算出している。だが代表的な企業というのは時代とともに移り変わるもので、両株価指標ともにそのときどきのトレンドに応じて構成銘柄の入れ替えを行っている。そのため1907年の開始時点からDJIAの構成銘柄として残っているのは、現時点でGeneral Electricのみである。現在のDJIAは米国の主要産業を中心にさまざまな業界から銘柄が選出されているが、全30銘柄のうちIT業界ではHewlett-Packard (HP)、IBM、Intel、Microsoftの4社、通信業界ではAT&TとVerizon Communicationsの2社が含まれている。
こうしたDJIAも、サブプライムを発端にした金融危機と消費不振により主力銘柄、特に自動車業界と金融業界での下落が目立っている。2008年2月にDJIAの仲間入りを果たしたBank of Americaも(ChevronとともにAltria GroupとHoneywellの2社の入れ替え)、当時の株価水準だった40ドル台から大幅に下回る3.75ドル(9日現在)と低迷している。さらに2008年9月には、2005年にDJIA入りしたばかりのAmerican International Group (AIG)が資金不足を理由に政府から大量の資本注入を受けて事実上の国有化、DJIAのリストから外されている。AIGの代わりにはKraft Foodsが選ばれた。そして現在、DJIAには破綻寸前で2ドルを下回る上場来株安を経験している「General Motors」「Citigroup」という2社がおり、間もなくDJIAのリストから外される可能性が高いと噂されている。両社の株価は9日時点でそれぞれ1.68ドル、1.05ドルとなっている。
通信社の英Reutersによれば、この2社に代わるDJIAの構成銘柄と目されているのが前述の「Google」と「Cisco Systems」だ。両社ともに金融危機でピーク時の半分近い時価総額となっているが、不調の自動車や金融セクターと比較すれば業績は安定しており、元気だといえる。このほかの候補として、以前まで投資銀行だったGoldman Sachs、1991年まで90年近くDJIAの構成銘柄だったUS Steelなどの名前が挙がっているという。