政府は10日開かれた閣議において、著作権者の許諾を得ずにネット上で違法配信された映像や音楽のダウンロードを違法とする著作権法の改正案を決定した。罰則は設けない。また、同改正案においては、検索エンジンサービスでの複製(キャッシュ)を合法とする規定も新たに設けられた。今国会に提出、2010年の施行を予定している。

ネット上ではこれまで、ファイル交換ソフトや違法音楽配信サイトを利用した違法音楽・映像のダウンロードが問題となってきた。だが現状では、違法コンテンツの「配信」は違法だが、ダウンロード自体を禁じる規定はない。

文化庁の文化審議会ではこれに関し、「私的録音録画小委員会」において議論。2008年12月にまとめられた報告書において、ネット上で違法配信された映像や音楽のダウンロードを、著作権法第30条に定める「私的使用」の範囲から外し、ダウンロード自体を違法化する方針を明らかにしていた。

10日閣議決定された著作権法の改正案では、これを明文化。ただし、違法となる条件として、「配信コンテンツが違法であることを知ってダウンロードした場合に限る」としたほか、「個人レベルでの行為は軽微なため、罰則は設けなかった」(文化庁)。

また、改正案では、検索エンジンサービスにおけるサーバへの一時複製(キャッシュ)を合法化する規定を新設。これにより、現在の著作権法を考慮し、サーバを海外に置いてきた検索エンジン事業者が国内にサーバを置くことが可能となる。

著作権法改正案は今通常国会に提出。「2010年の施行を目指す」(文化庁)としている。