Intelの日本法人であるインテルは3月6日、都内で記者会見を開催し、IntelがCeBIT 2009の開催に合わせて3月2日に発表した組込市場向けプロセッサ「Atom Z5xx」シリーズのラインナップ拡充に関する説明を行った。
インテル マーケティング本部 エンベデッド製品・マーケティング・マネージャーの金哲也氏 |
PCやサーバに用いられてきたIntel Architecture(IA)採用CPU(Centrino2やCore 2 Duoのほか、他社のx86プロセッサなど)を組み込み向けに適用した「エンベデッドIA」の市場は過去6年のCAGRは18%の成長だという。同社では、より組み込み市場向けにグラフィックスとネットワーク能力に特化したAtomやEP80579などのSoCが入り込む本格的な組み込み市場についても、「CAGR18%以上を実現する機会」(インテル マーケティング本部 エンベデッド製品・マーケティング・マネージャーの金哲也氏)と表現しており、カスタマからのローパワー・ハイパフォーマンスの要求に対応することで、この値を実現していきたいという。
特にIntelとしては、「ネットワークを軸に組込機器の在り方を変えていきたい」(同)としており、そうした機能を中心に、機能を追加していくほか、vProなども対応が図られていく可能性があるとした。
実際に、今回追加されたAtomは、パッケージサイズが22mm×22mmとなったZ530「Atom Z530P」と同Z510「Atom Z510P」ならびに動作保証温度をー40℃~+85℃まで拡張したパッケージサイズ22mm×22mmのZ520「Atom Z520PT」と同Z510「Atom Z510PT」の4つのCPUと、PおよびPTシリーズに対応したシステム・コントローラ「SCH US15WP」および「SCH US15WPT」の2製品。
基本的な動作周波数やTDPなどの仕様は従来のZ510/520/530と変わりがない。ただし、Z510については、通常版がHyper-Threading(HT)を切ってあるのに対し、PおよびPT版はenableに変更されている。これについては、「組み込み向け製品としての特徴づけのため」(同)とのこと。
また、細かな点では仮想化への対応が図られており、複数の組み込みOSを活用することが可能になっているという。
組み込み向けAtomについて、Intelでは、車載機器およびIPメディアフォンに特に関心を寄せているという。いずれも「ボリュームが期待できる製品」(同)であり、車載機器については、インフォテイメント分野向けがメインとしており、日本の複数の車載機器関係のメーカーともすでに話し合いを開始しているという。なお、将来的にはCANやMOSTなどへの対応も図られていく可能性があるという。
また、3月2日(現地時間)に結成を発表したIntelのほか、独BMW Groupや米General Motors(GM)などの自動車メーカーやOSベンダなど8社で組織される非営利団体「GENIVI Alliance」を活用することも検討されている。同団体は、オープンソースの車載用インフォテインメント(IVI:In-Vehicle Infotainment)のリファレンス・プラットフォーム開発を推進する団体であり、2009年夏ごろをめどに、最初の技術的成果として、AtomとMoblinベースのWind River Linuxで動作するプロトタイプが発表される見込みである。
一方のIPメディアフォンは、OSやHDDを搭載した室内電話で、タッチパッド機能を持つスマートフォンのようなGUIを用いて電話やメール、動画再生といったさまざまなアプリケーションを行うもの。
Intelが提供するライブラリを活用することで、開発の簡素化が可能になっており、「ネットワークに接続することで、セキュリティ的な使い方や医療分野での使用も検討されている」(同)であり、「早ければ2009年後半あたりから市場に登場してくる可能性がある」(同)とのことである。
なお、これらAtomの新シリーズについては、2009年第2四半期中の出荷を予定しており、「価格については、従来のZ5xxシリーズとほぼ変わりはない」(同)とのことである。