デジタルハリウッド大学はこのほど、東京都内にて「第1回卒業制作展」を開催した。「すべてをエンターテインメントにせよ!」というテーマで約150作もの卒業制作作品が展示された。展示作品のジャンルは、実写映像、CG、グラフィック、Web、ゲーム、プログラミング、論文など。
今回の卒業生のなかには、映画「東京オンリーピック」(2008)で、真島理一郎監督と「男子ヒューマニズム」を共同制作した澤田裕太郎監督や、映画「THE GRUDGE 2」(邦題、呪怨パンデミック)(2007)にて助監督を務めた太田健亮監督、デジタルハリウッド大学1年時に起業した大河内卓哉社長など、在学中からすでにプロの世界でクリエイターとして活躍している生徒も多数存在する。
卒業制作としてパペットアニメ作品「奴との遭遇」を制作し、優秀作品に選ばれた澤田監督は、「怪獣はペットボトルをベースに、毛糸などを貼りつけて作りました。ロボットはフィギュアの上半身部分に粘土をつけて加工し、下の戦車部分はラジコンをベースに自分でちょっと変えて作りました。オープニングイラストと劇中音楽は、友達に作ってもらいましたが、それ以外はすべて自分でやりました」と自身の作品について語った。
卒業生の多くは、エイベックスや、バンダイナムコゲームス、レベルファイブなどの企業でクリエイターとしての第一歩を踏み出すとのこと。約150作品のなかから優秀作品に選ばれた10作品は以下の通り。
第1回卒業制作展(優秀作品抜粋)
同会場では、サントリー 角瓶のCMなどを手がけるクリエイティブディレクター・大島征夫氏と日本テレビ系列で放送中のアニメ「ヤッターマン」の監督を務めるアニメーション監督・菱田正和氏を招いたイベント「クリエイターズトーク」も開催された。講演の最後に、卒業する生徒たちに対し大島氏は、「今後、何人の方ともお仕事する機会があると思いますが、結構つらいこともある商売です。でも根本的に、この仕事は面白いです。僕はたまたま広告の表現をやっていますが、表現するということは本当に面白いですよ。そういう本能を持っていれば絶対やっていけますから頑張ってください」とエールを贈った。
また菱田氏は「クリエイティブな仕事は、好き勝手にできるというイメージがありますが、実際は、クライアントさんがいて、そのオーダーを元に作ることが多いです。なので自由にできるということはかなり少ないと思います。ただクリエイティブな心を持っている人なら、手足縛られても絶対にクリエイティブなものが溢れ出てくるはずです。だからどんなにつらい仕事でも諦めずに頑張ってください」とアドバイスした。
講演を行ったクリエイティブディレクター・大島征夫氏(左)、アニメーション監督・菱田正和氏(右)。菱田氏は、若手だった当時、「機動戦士ガンダム」の監督で知られる富野由悠季監督に「絵コンテを描くときは個性を出すな、全部個性を捨てて描け。全部個性を捨ててもそこに描いてきたものには必ずお前の個性が残っているんだ」と言われ、励みになったというエピソードも披露した |
様々なコンテストに入賞していたり、劇場公開されている映画の制作に参加しているなどの実績を持つ優秀な生徒がデジタルハリウッド大学第一期生には数多く在籍していた。一般的にイメージされる卒業制作展とは一味違い、デジハリの卒業制作展では、すでプロレベルの作品が多く展示されていた。今後の彼らの進む道は、現在活躍している大島氏や、菱田氏が言うように厳しい道かもしれない。しかし優秀なアイディアを持った彼らがクリエイターとして日の目を見る日も必ず訪れることだろう。今後の彼らの活動から目が離せない。