富士通の半導体子会社である富士通マイクロエレクトロニクス(FML)は、メータパネルに設置されたディスプレイに情報を表示するデジタルダッシュボードや次世代カーナビゲーションシステム向けグラフィックス・ディスプレイ・コントローラLSI「MB86296」を開発、2009年4月よりサンプル出荷を開始すると発表した。サンプル価格は7,000円。量産後の販売目標は月産50万個としている。

「MB86298」のチップ外観

同製品は、2つのディスプレイポートそれぞれに2つの画面を出力することで4つのディスプレイ出力に対応。各出力ポートに搭載された8つの階層表示と階層間ブレンドの機能により、背景となる地図画面などの上に場所の説明やカメラの映像などを重ねて表示することが可能なほか、重ねた映像の輪郭部分をぼかすことで背景の映像に溶け込むような表現が可能となる。

また、4つのビデオ入力ポートにより、各種の映像入力を同時に処理することが可能。最大1280×720ドットに対応し、拡大・縮小機能や動き適応型インタレースプログレッシブ変換機能を搭載することで、ノイズの少ないプログレッシブ映像を生成することが可能だ。

90nmプロセスを採用し、描画性能は400Mピクセル/秒を実現。グラフィックスメモリには800MHz動作のDDR2 SDRAMを採用しているほか、17GFLOPSの演算性能を持つプログラマブルシェーダーを搭載することで、リアルな金属の表現なども可能となっている。

さらに、OpenGL ES2.0をサポートしているほか、OpenVG 1.0への対応も計画されており、車内エンターテイメント環境の構築を簡単に行うことが可能となっている。

なお、同社では、評価ボードやOpenGL ES2.0およびOpenVG 1.0のライブラリ、ドライバ群などの開発環境の提供を予定しているという。