Windows Internet Explorer 8

IE8はこれまでリリースされてきたMicrosoftのIEシリーズの中でももっとも標準規約に準拠するものになるとみられている(IE8、CSS 2.1互換性向上 - 2,500越えるCSS 2.1互換試験をW3Cへ提案IE8のデフォルトレンダリング変更、標準準拠を優先IE 8がAcid2テストに合格 - 08年前半にベータ提供の見通し)。この決定はこれからWebページを作成するWebデベロッパやWebデザイナは歓迎することだが、既存のWebサイト関係者には頭が痛い問題だ。

Microsoftでは将来と過去の双方に対して妥協点を見出すため、標準規約に準拠するというIE8のポリシーを変えることなく次の手段を通じて問題への対応をおこなっている。

  1. WebページをIE8対応へ書き換えるように薦める
  2. X-UA-Compatibleタグでレンダリングモードを指定できるようにする (IE8で標準規約レンダリングを指定する方法IE8に"IE=EmulateIE7"登場、"IE=7"よりも適切な互換指定)
  3. Compatibility View機能の提供 (IE8、互換ビューボタンを押しまくるユーザの要望に答える)

これら情報はおもにIEBlogなどの複数のブログを通じて発表されてきたわけだが、情報が多くのソースに分散したためか、ユーザに混乱をもたらすことになったようだ。これに答えるべく標準準拠やCompatibility View機能に関してまとめた記事がIEBlogにおいてJust The Facts: Recap of Compatibility Viewとして公開された。標準規約への準拠やCompatibility View機能がどういった動きをするのか再度調べるうえで有益な情報だ。

とくにCompatibility View機能はBeta2ビルドで登場したこともありユーザの理解が広まっていない状況にあるようだ。Just The Facts: Recap of Compatibility ViewにおいてCompatibility View機能について説明されている内容を要約すると次のようになる。

  • IE8インストール時にCompatibility Viewリストを使うかどうかをユーザが設定できる
  • Compatibility Viewリストを使うことでトラフィックが高いがIE8への対応が完了していないサイトがより適切なレンダリングモードで表示されやすくなる
  • X-UA-Compatibleタグで指定した内容はCompatibility Viewの設定よりも優先される。サイト管理者は常にコンテンツのレンダリングモードを制御できる
  • 状況によってはCompatibility Viewボタンが表示されないシーンもある
  • Compatibility ViewとX-UA-Compatibleタグによる指定は等価な処理ではない

IE8は標準規約に準拠しつつ、IE7向けに調整されたWebページとの互換性もシームレスな形で提供する。これまで公開されたIEのなかでは過去と将来の双方に互換性を見出しているという点においてもっとも登場が歓迎されるバージョンになりそうだ。