2月12日(米国時間)、Sun MicrosystemsはオープンソースのJavaアプリケーションサーバ「GlassFish」に関するいくつかの新製品と、新しい価格モデルである「Sun GlassFish Portfolio」を発表した。これに関連して同社では、今回の発表をより多くのユーザに知ってもらい広く意見を聞くための試みとして、各国語でのウェビナー(Webセミナー)を開催している。18日(日本時間)には日本語、ポルトガル語、中国語でのウェビナーが行われ、今後もスペイン語を始めとする各言語で開催していくとのこである。
日本向けのウェビナーは同社の川口耕介氏、寺田佳央氏、GlassFish開発の中心的人物であるEduardo Pelegri-Llopart氏によって行われた。川口氏によると、現在GlassFishは順調に市場に浸透してきており、それに伴ってSun内部でもGlassFishに対する期待が高まっているとのこと。その表われとして同社のエンタープライズサーバをはじめとする各製品が「GlassFish」を冠する名称にに変更されたほか、GlassFish Serverを基盤とするさまざまな製品群が発表されている。そして今回の発表はその一連の流れの一環とのこと。
まず、新たに発表された製品(名称が変更されたものも含む)には次のようなものがある。
- Sun GlassFsih Enterprise Server v2.1
- Sun GlassFish ESB
- Sun GlassFish Web Space Server
- Sun GlassFish Web Stack
- Sun GlassFish Communication Server
- Sun GlassFish Mobility Platform
GlassFsih Enterprise Server v2.1(以下、GlassFish ES)は、GlassFish v2系列の最新のリリースをベースにSunによるサポートを追加したアプリケーションサーバ。従来はSun Java System Application Serverとしてリリースされていた製品の後継バージョンとなる。GlassFish ESBはGlassFish ESとOpenESBをセットにした、JBIベースのESB製品。GlassFish SuiteとJavaCAPS 6のベースになっている製品だという。
GlassFish Web Space ServerはWebSynergyという製品が改称されたもので、GlassFish v2とLiferay 5.2をベースとしたWebポータル開発基盤。Portlet 2.0やWSRP 2.0、Open SSO、OpenESBなどをサポートする。GlassFish Web StackはCool Stack/Web Stackから改名されたもので、伝統的な(L)AMPレイヤのサポートする製品だ。
GlassFish Communication Serverは、GlassFish v2.1 + SailFinという構成でSIPをGlassFish上に構築する基盤となる製品。HTTPとSIPの融合をサポートする。GlassFish Mobility Platformはその名の通りモバイル向けアプリケーション開発のためのプラットフォームであり、Java技術と並んでOMA標準もサポートする点が特徴である。
上記はオープンソースで開発されたバイナリを元に、Sunによるサポートを含めて製品化したものである。したがって個々の製品そのものはオープンソースのものとまったく同一だという。これに加えてSunでは非オープンソースな独自製品として「Sun GlassFish Enterprise Manager」をリリースしている。同製品はGlassFsih ESにSNMPやパフォーマンス監視などの独自のアドオンを追加したもので、特に実運用中の大規模システムを対象としたものであるとのこと。
では、今回新たに発表された「Sun GlassFish Portfolio」とは何かというと、これは上記に挙げた各製品をキーコンポーネントとした新しい製品バンドルのモデルを指す。内容の異なるいくつかの価格モデルを用意し、用途に応じて顧客がどのような構成を選択したら良いのか、その場合コストがどの程度になるのかといったことをわかりやすい形でまとめたとのことである。価格はサーバ台数を元に計算し、仮想サーバの場合は4台につき実サーバ1台に換算するとのこと。
具体的な価格モデルは公式サイトのGet Itタブに記載されている。たとえば最も安価な「Basic」モデルはGlassFish ES + GlassFish Web Stackという構成で、アップデートと基本的なヘルプサポートが付いてサーバ1台辺り年間999ドルとなっている。「Silver」の場合はそれにMessage QueueとWeb Server/Proxy、各種サポートが加わって年間2999ドルとなる。その他に、全機能がセットになった「Gold」、専任のアカウントチームが付けられる「Platinum」がラインナップされている。また、サーバ台数ではなく従業員数から価格を計算するプランも用意されているとのこと。
さて、今回発表された製品は全てGlassFish v2.1をベースとしたものだが、気になるのは今後v3の成果がどのように取り込まれていくかという点だ。川口氏によれば、v3の新機能を利用すればもっといろいろなことができるようになるため、それをSunのサービスにどうつなげていくことができるか、現在も検討されている最中であるとのこと。
そのGlassFish v3は2009年中にリリースされる予定であることが発表されている。ただしJava EE 6の仕様がいつ頃確定するか、クラスタリングやフェイルオーバーなどに対応した実装がいつ頃完成するかなどとの兼ね合いもあり、具体的な時期についてはまだ決まっていないとのことだ。