宇宙航空研究開発機構(JAXA)および日本放送協会(NHK)は、2009年2月9日から10日にかけて起こった「半影月食」の際に、「かぐや(SELENE)」に搭載したハイビジョンカメラを通して地球を撮影、地球がダイヤモンドリングのようになる瞬間の撮影に成功したことを明らかにした。
半影月食は、月のすべての部分が地球の本影へ入る「皆既月食」、月の一部が本影に入る「部分月食」とは異なり、太陽光の一部によって地球の影が生じる「半影」の中に入ることで生じる月食。地球側から見た場合、月は欠けるのではなく、通常よりも暗めに見える程度であるため、肉眼で見ても変化がわかりにくい。なお、かぐやが月食に遭遇するのは、最大で年2回程度である。
写真の右下の輝いている(白い)点が太陽で、細い光のリング(ダイヤモンドリング)で囲まれた中央の黒い部分が地球。地球が黒いのは、夜の側を見ているため。リングが完全な円になっていないのは、そこの境界線上に月面が存在しているため。
なお、地球がリング状に輝いているのは、大気が存在するため。太陽光が地球の大気により散乱を起こすため、光の一部が地球の縁を回りこむようにして月に到達する。このため、月からは、地球の大気が青く、リング状に光っているように見える。ちなみに、地球の空が青いのも太陽光が大気に当たり、波長の短い青い光から散乱を受けていくため。
今回撮影された画像は、動画で撮影されており、こちらはJAXAのサイトに掲載されている。
なお、次の月食は、2009年7月7日の七夕の日に起きる半影月食であり、その次が2010年1月1日に起きる部分月食となる。