日本IBMとIBMビジネスコンサルティング サービスは、昨今の金融危機に対応するため、コスト削減を考える企業向けに、コンサルティングとサービスを体系化し、緊急オファリング(対策提案)として発表した。

今回発表されたサービスの特徴は、6カ月以内でコストを削減したいといった企業をターゲットに、短期間での効果を狙っているという点。問題点を見つけるための診断を行い、採るべき対策と実現可能性、期待効果を提案するまでは2週間、そして具体的な導入方法の設計は12週間で提供する。

日本IBM 執行役員、IBMビジネスコンサルティングサービス 戦略コンサルティンググループ 専務取締役 金巻龍一氏

日本IBM 執行役員でIBMビジネスコンサルティングサービス 戦略コンサルティンググループ 専務取締役 金巻龍一氏は、今回のサービス発表にいたった経緯について「いままで、IBMはソリューションを提供してきたが、今はきちっと数字に出る効果を提案をしないとお客様は納得してくれない」と語る。

そして金巻氏は、新サービスのポイントを「引き算」だと主張する。同氏は「これまでは、あれもやらないといけない、これもやらないといけないという「足し算」の考え方であったが、これからは最低限のことだけをやり抜く力、最低限やらなければならないことを見抜く力、焦点を絞る「引き算」が重要だ」と述べた。すなわち、これまでのように現状のコスト(人数)で、より高度なサービスを行うのではなく、現状のサービスを維持しながらコストを下げることが必要になるという。

コスト削減提案の勘所

そして、同社が新サービス提供に向けて導入するのが、SPI(Strategic Profit Improvement)という手法だ。これは金融危機以降、海外で顕著な効果をあげている緊急業務改革方法で、直近の利益確保のために確実に行わなければならないアクションだけを抽出し実行するものだという。そして、短期間で効果を出すため、グローバルで蓄積され多くの事例から効果が実証されたソリューションを当てはめ、期待改革効果を試算し、緊急かつ重要な領域から対策に着手していくという。

2週間でのクイック診断

具体的には以下のようなオファリングを行う。

営業バックオフィスやコンタクトセンター統廃合
受注に関連する営業部門の支援機能を整理し、集約化によるコスト削減の可能性を試算したり、複数あるコンタクトセンターの統合の可能性とコスト削減効果を試算し、運営費用を20%から30%削減することを目指す。

ITコスト緊急削減
トータルな維持・運用コストを可視化し、年間のIT維持・運用コストを20%以上削減できるか検証する。

新興市場へのシフトに向けた海外拠点配置最適化
新興市場への収益モデルのシフトに向け、拠点を再配置するための緊急課題と運用モデルを整理する。

グローバルキャッシュ一元管理
グループ内での余剰資金を集約し可視化することで、社内貸出銀行手数料と有利子負債の削減効果を試算する。

M&Aにおける事業シナジーの緊急創出
M&A契約後の事業統合に関わるすべての作業を一括で実施し、最短3カ月で新会社の稼働を支援する。

M&Aについて金巻氏は「日本は早くからリストラを行っており、海外に比べキャッシュを持っている。今は世界同時不況だが、相対的には日本は有利だ。今こそグローバル企業になって、グローバルでのポートフォリオを再編して生き伸びる大きなチャンスだ」と述べた。