東芝の出口氏らのグループは、0.6V、380μWと低電圧、低消費電力で動作する2.4GHz CMOS Bouble-Balanced Mixier に関して発表を行った。

出口氏らはBouble-Balanced Mixerの低消費電力を目指すにあたり、Localの矩形波信号が消費電力を大きくしている原因と考え、Mixerの改良を行った。

従来はRF信号とLO信号を直接乗算器に入力しA×RF×LO (Aは乗算の係数)を実現するが、提案手法では、まずRF 信号とLO信号の和の信号(RF+LO)を作り、その信号を2乗回路に入力することで、B×RF×LO(Bも乗算の係数)を実現している。

この方法のメリットは、乗算結果の利得を2乗回路で得ることができ、LO信号を小さくできることである。

実際に、2乗回路のMOSFETはしきい値ギリギリで動作させており、低消費電力に貢献している。

また、2乗回路の性能を上げるためにlinear enhancement biasingという回路を付加している。

これは従来は電流源でバイアスしている部分をOP AmpとMOSFETを用いて簡単なレギュレータを構成し、電圧の安定化を実現している。また、RF+LO信号を作るために、cyclic passive combinerを用いている。

このcyclic passive combinerは8つのCと2つのLで構成されていて、RFとLOを入力することでRF+LO、RF-LO、-RF+LO、-RF-LOの4つの信号を取り出せる回路である。

これらの工夫により、試作したmixerはRF=2.4GHzの信号に対して、NF:11.8[dB],Gain:12.7[dB],IIP3:-6.0を実現している。

FOMが20.8であり、従来の他のMixerで最も大きいものでも、13.2であることから、非常に性能の良いことが分かる。