電通国際情報サービス(ISID)は2月6日と7日の両日、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が実施した仮想化ネットワークを利用する未来型放送利用実験に参加し、朝日放送(ABC)および北海道テレビ放送(HTB)とともに、エリアワンセグシステムに関した実証実験を実施した。
同実験は2月5日から7日まで実施、NICTが運用・管理する研究開発テストベッドネットワーク「JGN2plus」が、2009年度からサービス開始を予定する仮想化ネットワークを利用し、各種の未来型放送技術に関する実験を行ったもの。
実験では、NICTがさっぽろ雪まつり大通り公園と、全国6カ所の放送局をJGN2plus回線で相互接続し、同回線上に展開した仮想化ルータおよび仮想化分散ストレージを活用して、生中継を含むハイビジョンによる複数の放送素材を同時に複数箇所に伝送した。
この結果、さっぽろ雪まつり会場でのエリアワンセグサービス(対象地域を限定したワンセグ放送サービス)の提供、およびパナソニックセンター東京などでの家庭用デジタルテレビへの直接ライブ配信や、韓国OBS京仁テレビ放送を通じた韓国へのさっぽろ雪まつりの模様の直接ライブ配信が実現したという。なお、NICTによると家庭用デジタルテレビの直接ライブ配信は世界初とのこと。
また、ISIDはABCおよびHTBとともに、ネットワーク対応型エリアワンセグシステムに関する実証実験を行った。
映像などは、おかやまネットワーク技術連携センターに設置した、ネットワーク対応型エリアワンセグコンテンツサーバから、ワンセグ・コンテンツをIPv6に変換したうえでマルチキャスト伝送した。このマルチキャストデータをさっぽろ雪まつり大通り会場における「雪のHTB広場」の2台、およびNICT大手町ネットワーク研究統括センターの1台の計3台の送信ユニットで受信し、両地点でエリアワンセグサービスとして電波を送信。雪まつり会場のエリアワンセグ送信ユニットのうち1台は、HTBが北海道総合通信局より実験局免許を取得して2mWの出力で送信したため、雪のHTB広場一帯で受信可能だった。雪まつり会場に設置した他の1台と大手町ネットワーク研究統括センターの1台では、微弱電波で実験送信した。
ISIDでは2006年からABCとともにワンセグの利活用に関して研究開発を実施しており、今後も今回のような実証実験への協力を通じ、技術課題を解消するとともに仮想化ネットワーク技術の習得およびエリアワンセグ技術の普及・促進に努めていくとしている。
また、NICTではネットワークを仮想化し提供する技術が確立することにより、仮想移動体サービス事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)への仮想化したネットワーク資源の提供や、通信事業サービスにおける新しいビジネスモデル構築の可能性などをもたらすとしている。