リバーベッドテクノロジーは、WAN最適化のアプライアンス製品「Steelhead」に搭載されている、RiOSの最新版である6.0と、外出先から社内システムにアクセスするためのソリューション「Steelhead Mobile」の最新版3.0を発表した。
リバーベッドテクノロジー シニアテクニカルコンサルタント 寺前滋人氏によれば、これらは高速化と使い勝手の追及という2つの側面から機能追加を行ったという。
両製品はともに12月中旬より、代理店を通して販売を開始する。なお、新製品にともなう価格変更はないという。
RiOS6.0では、ファイル共有プロトコルであるCIFSを利用するMacアプリケーションに特化した最適化を行ったほか、SAP Netweaver、 SharePoint、Microsoft CRM、Agile、Pivotal CRMなどのWebアプリケーションの最適化、Oracle E-Business Suite 11iおよび12の最適化、CIFSの最適化をプリントジョブに応用することによるリモートプリントの高速化などを行っている。
そして、もっとも大きな機能追加がCitrix XenAppクライアントの高速化だという。Citrix XenAppは、Xen Serverとの通信において、内部的に優先順位をつけて通信を行っているが、RiOS側ではこれまでこれらを一括してポート番号により制御していたという。今回の機能強化では、Citrix XenApp通信の暗号を復号することにより、RiOS側で内部の優先順位を把握することが可能となり、QoSで制御することにより、高速化を図ったという。
一方のSteelhead Mobile 3.0では、Windows 7と64ビットOS(Windows 7/Vista)への対応、先読みなどによるHTTPの高速化、キャッシュ共有機能であるBranch Warmingの搭載などの機能強化が行われている。
Branch Warmingは、モバイル時に利用されるPCのキャッシュと、社内利用時のSteelheadアプライアンスのキャッシュを共有しようというもので、外出先から社内に戻った場合にはPCのキャッシュをアプライアンスに反映、また、事前に社内にいる間にアプライアンスのキャッシュをPCに反映することで、外出時にも高速化しようというものだ。
また、米リバーベッドテクノロジー グローバルアライアンス バイスプレジデント ヴェヌーゴパル・パイ氏は、2010年にアプライアンスではなく、サーバ上の仮想化環境で動作させる「Vitual Steelhead」とクラウド上のiSCSIトレージをSANのように利用できる「Virtual Cloud Strage Accelerator」を発売すると語った。これらは、パブリッククラウドサービスを提供する事業者向けの製品で、一般の企業ユーザーには提供されない。
Vitual SteelheadはSteelheadアプライアンス、Virtual Cloud Strage Acceleratorは、Cloud Strage Acceleratorの機能を、VMwareなどの仮想化環境のVM上で提供する。価格等、詳細は未定だ。
ヴェヌーゴパル・パイ氏は、「クラウドは、運用コストなどコスト削減が大きなメリットだ。また、ビジネスの成長に合わせてITリソースを弾力的に拡張することもできる。クラウドが普及すれば、ユーザーとの距離が長くなり、遅延が問題になるが、ソフトウェアでの提供により、プライベートクラウドはアプライアンス製品、パブリッククラウドはVirtual製品を利用することができ、ユーザーはパフォーマンスを一貫したものとして担保することができる」と述べた。
リバーベッドテクノロジー 代表取締役社長 岡本吉光氏は「これからは、いろいろなタイプのクラウドが出てくるだろうが、我々はどのサイズにも適応できる豊富な製品をもっている。これまでは、グローバル企業が一番のユーザーだったが、今年の最大顧客は国内ユーザーであり、今後はデータセンタ事業者や中堅・中小企業、地方自治体などに広がっていくだろう。中堅・中小企業が、SaaS、PaaSなどを利用するようになれば、WAN最適化製品が必要になるが、その場合価格がネックになる。ただ、Virtual製品やSteelhead Mobileを組み合わせて提供し、従量課金などを採用していけば、価格を下げることができる」と述べ、クラウドに向け従量課金を用意する考えがあることを明らかにした。