MySQL ABの創業者の1人であるMichael "Monty" Wideniusは2月5日(フィンランド時間)、自身のブログにてSun Microsystemsを退社したことを発表した。同氏はMySQL ABの3人の設立メンバーのうちの1人であり、MySQLのメインプログラマでもある。オープンソースDBの代表格として扱われるMySQLだが、同社は2008年1月に米Sun Microsystemsによって10億ドルで買収されている。Sunの退社後、同氏は自身の設立したMonty Program ABに移る予定だという。
同氏はブログの中でSunよるMySQL買収後の2008年夏頃に退職の噂があったことについて触れ「当時はまだSunを離れて仕事をすることを検討している段階だった。だが同社経営陣との交渉で、問題を抱えていたRelease 5.1の作業完了までは退職を保留すると伝えていた」と回想する。退職の理由としては、MySQL Serverの開発状況に満足していなかったことを挙げている。MySQLの買収相手としてSunが適切だったとフォローしつつも、実際の開発ペースは非常に遅く、オープンソース製品として外部の開発者がより多く参加できるような体制が必要だと指摘する。またSunを退職しても、オープンソースの観点で外部から開発を支援することも可能だとしている。
なおSun退社後にWidenius氏が参加するMonty Program ABだが、オープンソースベンダを標榜するものの、実質的には受託開発なども請け負うフリーのシステム受託会社として機能するようだ。また受託開発に加え、Maria EngineとMariadbというオープンソース製品の開発も行っている。MariaはMySQL向けのトランザクショナルストレージを構成するためのエンジンで、Mariadbは同エンジンをMySQLと組み合わせたデータベース製品となる。
MySQL ABは1995年、Widenius氏とAllan Larsson氏、David Axmark氏の計3名のメンバーによってオープンソースDB「MySQL」を開発/販売する企業として設立された。フィンランドのアプサラのほか、米カリフォルニア州クパチーノの2つの本社を拠点に、ライセンス販売やサポート提供を中心としてビジネスを展開している。MySQLという製品名称だが、この "My" は「私の」を意味する英単語ではなく、Widenius氏の最初の妻との娘の名前「My」からとった名称のようだ。また前述の「Maria」も、同氏が現在フィンランド首都のヘルシンキで一緒に暮らしている2番目の妻の娘の名前とのことだ。