三菱電機は2月5日、電話局とユーザー宅の端末をつなぐ光アクセスネットワークにおいて、上り下りともに現行システムの10倍となる10Gbpsの高速通信を実現する「10G-EPON(10Gigabit-Ethernet Passive Optical Network:伝送レートが10Gbpsの1本の光ファイバーに複数の加入者を収容する通信技術。)試作システム」を開発したことを発表した。

現在、ユーザー宅の光回線終端装置(ONU)と電話局の局内装置(OLT)をつなぐ光アクセスシステムでは、伝送レートが1GbpsのGE-PON(Gigabit Ethernet-Passive Optical Network)方式が採用されている。同社によると、その伝送レートを10Gbpsにするには、ONUから高速に送出される光信号を短時間で確実に処理できるOLTを実現し、光アクセスシステムにおいて1Gbpsの既存加入者と10Gbpsの新規加入者を混在して収容できる必要があるという。

今回、同社は10G-EPONのONU、10G-EPONのOLT、OLT/ONU用バースト光送受信器を試作することで上記2点の課題を解決した。試作のバースト光送受信器は10G-EPONの標準規格「IEEE 802.3av」を満たしている。

試作の10G-EPONのOLT

試作のOLT/ONU用バースト光送受信器

三菱電機 情報技術総合研究所光アクセス技術部 部長 下笠清氏

三菱電機情報技術総合研究所光アクセス技術部の部長を務める下笠清氏によると、今回の試作システムにおける他社に対する優位点は「伝送レートが1GbpsのONUと10GbpsのONUが混在する環境で32台のONUの接続に成功したこと」だという。これはOLTからONUへの下り方向に、1つのファイバー内で異なる光波長を用いて伝送できるWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重方式)技術を適用したことで実現された。

同社は今後、事業化に向けて、通信品質とセキュリティー機能の向上、高集積化による装置の小型化、低消費電力化という3つの課題に取り組んでいくという。