日立製作所は2月3日、2009年3月期決算の通期業績見通しを発表した。通期決算は売上高が10兆200億円で、純利益(損失)は7000億円の赤字を見込む。同社は10月30日に通期売上高を10兆9000億円、純利益を150億円とする予測値を発表しており、大幅な下方修正となった。
通期での最終赤字はこれで3年連続となる。自動車市場や家電分野での急な需要減速が直撃した形だ。業績見通しの悪化を受け、同社では、1月30日に速報を発表した国内外の人員7000人を対象とした削減または配置転換で、2009年度中に約2000億円の固定削減計画を表明している。
通期の売上高は前年比11%のマイナスとなる。全体を見渡すと、情報通信システム部門の営業益が通期で529億円の前年比プラスを見込んでいる以外は、ほぼ全部門でマイナスに落ち込んでいる。特に電力・産業システム部門や高機能材料部門の落ち込みが大きく、自動車や半導体分野での需要減が関連子会社の業績に大きく影響している。またデジタルメディア・民生機器部門は家電需要の急速な低迷を受け、第3四半期以降の業績が急に悪化し、1090億円の営業損失となった。
今四半期の営業損失は145億円。4月からの累計営業利益は1825億円を計上しているが、この数字が通年では400億円にまで下がると見込んでいる。こうした営業利益の悪化に加え、ルネサステクノロジなどに関する持分法損益が1400億円、事業構造改革関連費用が1500億円、繰延税金資産評価減など税金関連費用負担の3300億円などが重なり、最終的に7000億円の赤字と予測する。
日立では営業利益の悪化を特に問題としており、拠点削減や効率化などによるさらなる固定費削減のほか、収益改善の難しいと判断された事業や製品からの撤退で2010年3月期までに2000億円のコスト削減を計画している。具体的には自動車機器関連事業で4000人、薄型テレビ・デジタルメディア事業で3000人(1000人はすでに適用済み)を今後1年かけて配置転換などで対応していく。
また赤字事業として長らく懸案事項だった日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)だが、通年黒字を達成した(HGSTは2008年1-12月決算のため)。HGSTも構造改革を目標に人員配置の変更を進めており、2月3日には同社CFOだったStephen Milligan氏が社長職兼任となり、会長兼CEOだった中西宏明氏が会長に止まるもののCEO職を外れている。HGSTでは主に米カリフォルニア州サンノゼの米国拠点を中心に技術開発面での強化を進めていくという。