日本オラクルは、研修サービス部門である「オラクルユニバーシティ」をいっそう強化することを目指し、ネットワークを利用することにより、仮想的に集合型研修に参加できる技術者向けの新サービス「Oracle Live Virtual Class(以下Oracle LVC)」を2009年4月28日から開始する。

双方向コミュニケーションも可能

「Oracle Database」などの技術や最新の製品情報などの習得時間が乏しい最前線の技術者や、セミナーに頻繁に参加することが困難な遠隔地のユーザーからの潜在的な需要に応えるとともに、教育分野での新たな市場の開拓を図る。

「Oracle LVC」は、オンライン会議システムを活用、受講者はインターネットへのアクセスが可能で、Webブラウザがあれば、会社や自宅などにいながら、「生」でオラクルの技術研修を受講できる。受講者は、同社が設けたWebサイトにアクセスすることで講義の聴講、プレゼンテーション資料の閲覧が可能になる。

インターネットを通じて、どこからでも講義に参加でき、双方向の「授業」ができる

講師と受講者は、仮想的に教材を共有することになり、講師側は、教材の文章の重要な箇所に下線を引いたり、図形を書き込む、あるいはホワイトボードに板書するといったことが可能になるとともに、受講者側は「挙手」して、マイクを通して質問することもできるほか、チャットによる質疑応答の機能も備えており、双方向のコミュニケーションをネットワーク経由でも実現可能で、集合型研修と同様の体験ができるという。

仮想的に設けられたサーバで実機演習も可能

日本オラクル 執行役員 オラクルユニバーシティ本部長 岩田健一氏

このシステムでは、講師側は受講者側の画面を見ることができ、「操作権」も確保しているが、「操作権」は、受講者側に渡すことも可能であるため、仮想的に設けられたサーバにアクセスするなどの手法で、実機での演習と同様の効果を実現することも可能になっている。同社執行役員 オラクルユニバーシティ本部長 岩田健一氏は「Liveであることが重要だ。チャットやマイクでの対話などで、(疑問などを)その場で解決することができると、理解度も大きくなるのでは」と話す。

「Oracle LVC」は、受講時間や受講場所にできるだけ制限されることがなくなるため、同社では、遠隔地や多忙な技術者など、各個人のニーズに合わせた研修受講と技術習得の機会を拡充でき、研修参加にかかる移動時間やコストの削減にもなる、としている。

受講者側の画面には、右上に参加者一覧が現れ、右下には講師の姿が示される。実際の抗議では、左側の大部分には教材が表示される

岩田氏は「『Oracle Database 11g』、BI、仮想化などの新しい技術を幅広い層に伝えたい。双方向のやり取りや、実機演習なども可能で、リアルの研修と変わらない内容にしており、バーチャルといっても研修の質を低下させないサービスを提供する」と語り、新サービスの水準について自信を示す。

4月から「Oracle LVC」として提供するコースは、オラクルのデータベース製品、ミドルウェア製品と業務アプリケーション製品に関わるもので全50種類となっている。同社は、「Oracle LVC」を実際に体験できるよう、2009年4月22日から3日間開催される「Oracle OpenWorld Tokyo 2009」の期間中に無償体験コースを提供する予定で、オラクルユニバーシティの講師による1時間の講義を無償で行う。

主な提供コースと価格は以下の通り。

コース 価格(税込)
Oracle Database 11g: 新機能概要セミナー(1日間) 6万9,300円
Oracle Database 11g: 運用管理概要セミナー(1日間) 6万9,300円
実例から学ぶ!バックアップ・リカバリ(1日間) 6万9,300円
実例から学ぶ!パフォーマンス・チューニング(1日間) 6万9,300円
Oracle Database 10g/11g: SQLチューニングワークショップ(3日間) 20万7,900円
Oracle Database 10g/11g: RAC 構築と運用(5日間) 43万3,125円
WebLogic Server 9/10によるシステム管理 I(3日間) 20万7,900円
WebLogic Server 9/10によるシステム管理 II(2日間) 13万8,600円
Oracle E-Business Suite Release 12 統合会計系機能概要(1日間) 8万6,625円
Oracle E-Business Suite Release 12 サプライチェーン系機能概要(1日間) 8万6,625円
Oracle E-Business Suite Release 12 生産管理系機能概要(1日間) 8万6,625円
Oracle CRM on Demand 管理エッセンシャル (4日間) 34万6,500円

同社2009会計年度(2009年6月-2010年5月)前期の「オラクルユニバーシティ」の実績は、対前年同期比12.1%の13億8,900万円だった。同社はこの数年の積極的な買収・合併戦略により「商材が多岐にわたっており、製品ライセンスだけでなく、教育も充実させる」(岩田氏)ことに注力してきている。

同年度前期の重点項目としては、まず、企業間の垣根を越えた、システムの最適化を達成するための要素である「Edge Applications」製品の技術者育成で、具体的には、Agile(PLM)、G-log(輸送管理)、Demantra(需要管理、販売/オペレーション計画、販売促進管理)などの製品を対象とし、あわせて100人以上の導入技術者を育成したという。また、SOAや「Oracle Database 11g」の研修を強化するとともに、資格を拡充した。