マイクロソフトが先月発表した「地域活性化協働プログラム」。同社が得意とするICT(Information and Communication Technology)の活用を中心に、自治体と協働して地域活性化に取り組むというプログラムで、複数の支援策が一括提供される。その提携第1弾として3日、マイクロソフトと佐賀県との間で覚書が交わされた。支援期間は1年間。

佐賀県が今後、マイクロソフトと協働で展開するプログラムは次の5種類。高齢者向けICT利活用促進プログラム / CSO(※)組織強化プログラム / ICTスキルアップオンライン / ICT活用ゲートウェイ / セキュリティ自治体連携プログラム。これらはセミナーやe-learningなどを通じた各種人材育成支援によって実施されていく。たとえば、高齢者向けのICT活用セミナーの開催、NPO法人や市民活動団体向けの講師育成研修、ICTを活用した授業実践のための教師向けオンライントレーニング、県民を対象としたインターネットを安全に利用するための啓発活動などが含まれる。

古川康佐賀県知事(写真左)と樋口泰行マイクロソフト代表執行役社長が、新たな地域活性化プログラムで覚書を交わした。写真提供/佐賀県

3日、樋口泰行 マイクロソフト代表執行役社長と覚書を交わした古川康佐賀県知事は、「佐賀県にとって、マイクロソフトとの取組みは、ICTの便利さを市民や県民に広げていくうえで、大きな一歩となる」と期待感を表明。同県は、「IT最先端県庁の実現」「ブロードバンド環境整備」「地域全体をICTの視点で振興」を目標にICT活用による地域振興に取り組んでおり、地域活性化協働プログラムをより一層の促進剤にしたい考えだ。

樋口氏は、「経済が厳しい状況にありますが、ICTの利活用により、効率向上やコストの削減が可能」になると、ICT利活用の重要性をアピール。また、この新施策の展開について、「佐賀県の先進的なICTの活用の事例を他の自治体にも紹介をしていきたい」と意欲を見せた。古川知事が「企業が、これほど企業市民活動として貢献しているのは例がない」と話すように、同社はこれまでITベンチャー支援プログラム / ICTスキルアップオンラインなどの数々の支援プログラムを個別に各自治体へ提供してきた。佐賀県との取り組みを通じて、新たな試みとなる包括的な地域支援策の有効性を示したいところだろう。

※CSO:Civil Society Organizations、市民社会組織。NPO法人や市民活動団体、ボランティア団体など、県内の様々な組織・団体の総称。